うちのシナプスだって、本気出せば手をつなげる。

ごはんとお酒以外も上手に思い出せるよ!ということを証明する実験。尚、嫌いな作品をdisるほどのカロリーは残ってません。

『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン(2002)』に関する記憶

そんな訳で、今回は『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』です。
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 スティーヴン・スピルバーグ監督がハリウッドのトップ・スター2人を起用して撮り上げた実録犯罪コメディ。
60年代、FBIを手玉にとって世間を騒がせた実在の天才詐欺師フランク・W・アバグネイルと彼を執拗に追う捜査官との追跡劇を軽妙なタッチで描く。
原作は、現在FBIのアドバイザーとして活躍するフランク・W・アバグネイル本人とスタン・レディングによる同名自叙伝。


(allcinemaより抜粋引用)


随分とまた、挑戦的なタイトルだなーって思ってたけど。
これ「鬼さんこちら」と同義のフレーズなんだって。
そっかそっか、鬼ごっこかー。

尚、個人的にはこんな気分のときがおすすめと考えます。

①最近むしゃくしゃすることばかりである→Yes
②ルパンが好きです!でも、銭形のとっつぁんの方がもーっと好きです!→Yes
③そういえば近頃、父親とあまり話をしていない。→Yes

その心は...

詐欺師映画にハズレなし(※当社比

いや。誰だっていつだって、ハズレは引きたくないですよ。
ずっと、当たりがいいですよ。

でもね...冒険したいときって、あるじゃない。
ちょっと新規開拓いっちゃう?いってみちゃう?っていう、そういうとき。

そういうときはべつに、ハズレを引いたところでさ。
まあそうだよねーちょっと無謀だったかなー?あははははーで、済むじゃん。わりと。
一方ね...

彼氏にフラれた!
クソ上司、まじ死ね!
いつになったら帰れるんだよおおおおお

電車で、俺の前のヤツだけ降りない!
外出た瞬間、ゲリラ豪雨
また太ったあああああ

みたいな、そういう日。
そんな日に冒険は、決してしてはなりませぬ。
ここへきて映画の内容までスカだったら、もうね...

あれ。わたし要らない子?ってなるでしょう?
お空きれーいってなっちゃうでしょう?

だから

冒険はどうぞ、心の余裕のあるときに。
そんな日にこそ、詐欺師が出てくる映画がよろしいかと

登場人物だけじゃなく。
同じように観客も騙されないとお話にならないのが、詐欺師が出てくるお話です。
自動的に、よく練られた脚本になるのでは?と
いきおい、ハズレも少ないのでは?と

まあねえ...

「パッケージ詐欺」「出口調査詐欺」って映画はゴロゴロあるけどな!

でね、この作品は特にね。
数ある詐欺師の映画の中でも、話がデカくて。
スケールのデカい詐欺ほど、ほら。
イケたときの爽快感は、半端ないじゃん。*1

1964年から1967年にかけて、私はパンナム航空のパイロットになりすまし、
320万キロの空を無料(タダ)乗り


それだけでなく、大病院の小児科主任医師を務め、
更にルイジアナでは検事補佐


逮捕時には犯罪史上最も大胆不敵な詐欺師と言われ、
26カ国と米国50州で小切手偽造で得た総額が400万ドル*2


それも19歳の誕生日の目前にです。

もともと何者でもない、ただの家出少年ですよ。
仕事も無い、お金も無い、特に強力なコネがある訳でもない。
そんな彼が自分の頭脳と度胸だけを武器に、世の中をまるっと騙します。
まんまと巻き上げます。

けっこうね、絶体絶命レベルのピンチがわりと何度も訪れるのよ。
その切り抜け方がね...

毎回毎回、あまりにも大胆、かつ鮮やかなので。
気持ちいいんだよねーこれが。

やなことあったときぐらい、スカッとしようぜ!


ばっかもーん!そいつがルパンだーーー!

インターポールじゃなくて、FBIだけどね。
銭形幸一じゃなくて、カール・ハンラティ*3っていいます。

銭形のとっつぁんってさ。
ルパンが死んだと聞いたら、その度にぎゃん泣きするじゃない。*4
それに似た、熱さとまじめさがあるのですよ。カールにも。

長引くにつれ、上司からもプレッシャーをかけられるし。
ジョークもパッとしない。*5
プライヴェイトではバツイチで、娘にもなかなか会えない。*6

やつを捕まえるのは、俺。
最後に手錠をかけるのは、俺。

これがすべて。
このためだけに生きています。

やつなら、次にこうする。
やつなら、次はここに現れる。

プロファイルも、だんだん推測じゃなく確信に変わります。
重ねると、商売敵も他人と思えなくなるのかもしれない。

結局フランクが逮捕されたのは、とある外国なんだけど。
そのときのカールのとっつぁんは、こうよ

やっと捕まえた男だ
ここで死んだら責任を取らせるぞ

ちゃんと記録しろ
『フランク・アバグネイルは自ら法に身を任せた』と


(ちょっと中略)
どこへ連れてくんだ?私も乗せろ
私も乗せろ!


(フランクに向かって)心配するな!アメリカに連れて帰る!

どうよ?(こうよ!

言うたら、相手はガキですよ。
今までさんざん、してやられてるのよ?
ナメられてんのよ?

そこをようやく逮捕ってなったときにね。
喜びや開放感だけじゃなく。
恨みつらみ、及び憎しみだけでなく。
大人として、彼を守る態度にも出るんだよね、不思議と

相手が未成年者というのも、あるかもしれない。
あるとは思うけど...それだけじゃなくて。

家族のような、戦友のような...
名前の無い、不思議な関係。

物語中、クリスマスイヴが何度か訪れるんだけどね。
その度に、変化するのよ。

いいんだよねえ...その...
何とも言えない、不思議な関係。


お父さんも、いいのよ...

...とまあ、こういうストーリーもね。
ディカプリオと、トム・ハンクス
二人の演技が巧いから生きるのよたぶん。
二人とも、当たり役!!!

でもね...負けないぐらい
お父さん役にいい*7のが控えてるのよーこれが。

普通さ...
しばらく会ってない息子が国際指名手配犯だってわかったら、どうする?
その捜査目的で、FBIが家まで来ちゃったら?

お母さんの反応はね。まあ、わかる。予想できる。
一方、お父さんの反応がね。なるほどそう来たか、と。
わたしなんて、取り乱す/息子を怒る/息子を説得するぐらいしかコマンド浮かばなかったもん。

60年代という時代で、男性であること。
男親であること。
それから、息子への想いと、現状に対する彼なりのプライドと

その辺りを鑑みると...そうだよね。
FBIに対して、息子に対して。
このお父さんだったら、こうするね。
この親子関係だったら、こうなるね。

正しいか、正しくないか。
世間が許すか?とはまた、別だったりするんだ。
そんな、何とも言えない表情。


その他、雑感

■冒頭からぐいっと

オープニングシークエンスが映画ってさ、俄然やる気出るよね!ね!
物語が始まる前から、期待値どんどん上がっちゃう!*8


Catch Me if You Can Opening Title Sequence

どうよ?(こうよ!

のっけからもうこの完成度!
ちゃんと60sなアニメです。
大人なジャズです。
物語の概要もさら〜っとなぞってくれていて、完成度めっちゃ高い。

冒頭からぎゅっとされます。持ってかれます。
それからそれから?って、つい、なっちゃうよね。



■制服ずるい!それわかってんの、もっとずるい!

通して感じたことが、制服の信頼性って絶大だなって。
着てる相手にそれっぽいこと言われれば、ここまで騙されてしまうのか!って。

たしかにね...
空港のパイロット然り、大病院の医者然り。
自分が見かけて、実際に話したとしても。
極端じゃない限り、後からの印象ってあまり大したこと憶えてないよね。

「若かった」「誠実そうだった」「悪い人には見えなかった」
「そんなことするような人に見えなかった」...

せいぜい、そんなもんだよね。
よっぽど身体的な特徴があるとか、怪しい言動があったとかなら別だけど。
今も変わらない法則だもんね。

その法則を、けっこうな序盤で理解して動いてるのがすげー!ってなるけど
本物の制服の入手方法*9がまたええええー!?って




■憎めないキャラなもので、つい忘れがちだけれども

たまにはあのナースのこと思い出してあげてください!!!

歯の矯正してた、あのナースだよ!
彼女だよ!!!

この映画ね。
捜査官との関係性、親子の関係性をわりと濃ゆく描いているので、
犯罪者って言っても、そこまで悪人に見えないんだよね。フランクのこと
むしろ結末で不幸ではない現状がわかって、安心するぐらい。

けどこれ、あのナース視点で見たら、違うでしょ。
だいぶ、酷いよ!女の敵だよ!!!
なんなの式の最中にこれって!?踏んだり蹴ったりだよ!!!
彼女メインでスピンオフ書いたら、こいつぁとんっでもない悪党ですよ。

ぜひ、現在は幸せになっていてほしいです。彼女には
最低でも、フランク以上の幸福を!彼女にも!!!

*1:アラサー専の結婚詐欺では、こうはいくまい

*2:当時は1$=360円の固定相場制だったはずので、計算してみてよ!わーお!!!!

*3:何度聞いても憶えられないよこの姓...

*4:俺はお前が好きだったんだぞ!とかなんとか言って

*5:たぶん、モテもしない

*6:たぶん、煙たがられてる

*7:この年のアカデミー助演男優賞なのね

*8:OP"だけ"良すぎてそこしか憶えてない映画も、まあまあありがちだけども、これはOP"も"良い。なのでご安心を。

*9:ネットもないこの時代にまさかの!