うちのシナプスだって、本気出せば手をつなげる。

ごはんとお酒以外も上手に思い出せるよ!ということを証明する実験。尚、嫌いな作品をdisるほどのカロリーは残ってません。

『プリシラ(1994)』に関する記憶

春になると、埃っぽいロードムービーが観たくなります。
旅に出たくなるからかもしれない。

加えてここのところ、'00〜'10年代の映画が続いたので。
すこーし、遡ってみることにしました。

そんな訳で、今回は『プリシラ』。
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なんかこのカット、後ろから見たら
全裸コートおじさんがガバーしてるみたいに見えちゃうけど。
ちがうのちがうの、そうじゃないの。
これめっちゃ素敵なシーンなんだから!!!

性転換者のバーナデット(テレンス・スタンプ)、バイセクシャルのミッチ(ヒューゴ・ウィービング)、世間知らずの若者フェリシア(ガイ・ピアーズ)。
オーストラリアはシドニーのクラブで踊っていた3人のドラッグ・クィーンが、おんぼろバスを駆って、ミッチの別れた妻子を探す旅に出る。


(Amazonより引用)

あらすじは、こんな感じなんですけど。
個人的には、以下の気分のときにおすすめと考えます。

①部屋に好きなものが多すぎて、このご時世肩身が狭い→Yes
②おうちきらーい帰りたくなーい→Yes
ABBAが好き、もしくは、ABBAが嫌い→Yes

その心は

こんまりから逃げてーーー

断捨離すると、何らかの麻薬物質が出るよね。わかる。
部屋にものが少ないと気分がいいよね。それも、わかる。

でもねー、それでもね...

そこに"あなた"は残してあるかい?

ほら。よく本棚見ると人となりがわかる。とか言うでしょう?
わかるよそりゃ。そこに"あなた"が残ってるんだもの。
クローゼットだって、そう。
食器棚だって、冷蔵庫だって。

一方、ね...
ミニマリスト 部屋 - Google 検索

全部一緒じゃねーか!!!
このどこに"あなた"が残っているの!?
どこにもいないよ!!!

ぜひ、バーナデットが車に積み込むハイヒールの量を注視してほしいの。
いくら地方公演っつたってね、あんなには要らないよ絶対。

薬棚にかわいくディスプレイしてある酒瓶だってね...
買えよ!途中で!!!

ちがうのちがうの、そうじゃないの。
要る/要らないって、そんな次元で判断してないの。彼女たちは

厳しいときこそ念入りなメイクで気分が上がることを、知っている。
知らない街へドレスアップして出かけるときのわくわく感を、知っている。
頭痛がしたら自分にはアスピリンじゃなくてお酒の方が効くことを、知っている。

好きなものに囲まれて生きる。ってそういうことだ。
自分のことわかってる。ってそういうことだ。


おうちがいちばん!は、出てみなくちゃ

旅なんて、トラブルはつきものだもんね。
特に誰かと一緒の旅なんてさ
何か起きるたびにお前のせいだ!って、うんこの投げ合いになんじゃん。

でもそういう旅こそ、あとからいい思い出になったりね。
帰ってきたら、さらに濃ゆい仲になってたり。
うまい酒のつまみになったりね。

それもこれも、ホームがあるから。
「やっぱり我が家がいちばん!」
って、他もいろいろ見てきた人の台詞だものね。


特にオージーのABBA好きは異常。らしい

ゲイカルチャーにおけるABBAの立ち位置ってなんなの!?*1
これ、だいぶ前から気になってました。
この作品の中でこれだけdisられてんのも、なぜなんだろう?

・「男のABBA聴きは確実にゲイって言われるから」説
・「ABBAは女性陣もガタイがよかったので、衣装を作りやすかったのでは?」説
・「他の映画でもイケてないものの代名詞としてもよく出てくるよ」説

まあ、これぐらいのことは出てくるけども。
はっきりソースを提示できるほど、確実性はない感じ。

ABBA?ベタすぎるわ!!!

ぐらいのトーンなのかなあ???(※もんにょり着地


その他雑感

■語るヒットチューン...イイ!!!

たとえば冒頭のショーでは

パラダイスには行ったけど
まだ本当の自分は見つからない

と、『愛はかげろうのように』で語らせてみたり。
いざ出発!ってときには、もちろん『Go West』。

どれもこれも、誰もが知ってるディスコチューンなんだけど。
どれもこれも、流れてくるタイミングが効果的。
心情とか状況とか予感させるものとか。
そういうののうまい表現になってる。

お。狙ってんねー
そこにニヤッと



■見た目は女、舌先ヤクザ

ドラァグクイーンは、口が悪い。
というのはまあ、想像に難くないと思うんだけど。

中でもいちばんお上品かと思われるバーナデットのお口からこんな台詞が

あいつ!歯をヘシ折って、お尻の穴から歯を磨かせてやる

!!!
なんと!
つまりこれは...アレだね!
かの有名な...

オージー版:「ケツの穴から手ェ突っ込んで奥歯ガタガタいわせたろか」だね!



■にしても、女房いい女過ぎ、息子出来過ぎ

ゲイ×ビアンカップルの結婚は、ときどき聞くよね。
職場や家族親戚への配慮とか、社会的な隠れ蓑とか。
そういう偽装結婚の相手としては、説明が楽みたい。
そして、意外とみんな子どもを欲しがるって。

だからミッチ×マリオンの結婚は、やけにリアリティはあるなーと思って観てたのよ。(※何様目線だよ
けどさ、それにしてもさ!
だからこそさ!!!

貯金0なのに、文句言わずに8年間もシングルマザーしてたとかすごすぎね?
弱冠8歳なのに、久々の対面で息子理解ありすぎじゃね?

その辺りちょっとむーん、とはしたんだけど。
ここ詳しく語ろうとすると、それだけで1本映画を作れるほどのヴォリュームかと思うので。*2

「よくできた妻えらーい」
「大人に囲まれて育った子どもってこんな感じかもー」

と、ざっくりとまとめることにするよ!*3



■最後にいちばん好きなシーンをば

なぜにダチョウ?エリマキトカゲ
って混乱する、3人での最後のショーも好きー

フェリシアがバスに上って歌う(※口パク)、あの有名なシーンも、ね。
流れる衣装がうつくしくて大好きー!

けど、やっぱりここかなー?


The Adventures of Priscilla, Queen of the Desert - I Will Survive
めっちゃノリノリのディジュリドゥコラボに泣ける。
こういう、奇跡みたいにしあわせな夜のために毎日生きてるんだって思いたい。
うん。がんばるよ。うん 

(4,188字)

*1:そもそも本家は納得してるの???

*2:ロードムービーのわりに103分とかコンパクトだもんね!今でこそ、LGBTを題材にした映画は随分多くなってきたけど、当時はまだまじめなテーマを扱う作品って、少なかっただろうし

*3:決してめんどくさがってる訳ではないの。詳しくdisるカロリーは(以下略