うちのシナプスだって、本気出せば手をつなげる。

ごはんとお酒以外も上手に思い出せるよ!ということを証明する実験。尚、嫌いな作品をdisるほどのカロリーは残ってません。

鈴木清順(1923-2017)に関する記憶

「いちばん好きな映画は何?」
と問われたら
「『ツイゴイネルワイゼン』」
と答える。今でも。
すかさず、何の躊躇もなく。

ツィゴイネルワイゼン』を最初に観たのは、20代だったけど。
わたしが知ったとき、彼はすでにおじいちゃんだった。
すごく歌舞いてて、すごく粋なおじいちゃんだった。


Zigeunerweisen 「ツィゴイネルワイゼン」 Trailer 予告編

当時は理解できないシーンが山ほどあった。
いや。今だって、どうかな?怪しいかも

けど、そんなことどうでもよくて。

意味があっても、なくても。
解っても、解らなくても。
うつくしいものが怒濤のようにどんどん流れてきて。
それに身を任せるのって、なんて気持ちがいいんだ。

それを教えてくれたおじいちゃんだった。

銘仙のお着物
白い肌
黒髪のぱっつんボブ
うつくしい近代建築
うつくしい日本語
フェティッシュなエロス
大人の口説き
濃い夜、真っ黒な夜

ただただ、かっこよかった。
ただただ、撃たれた。

早く骨になって欲情されたい。と、何度願ったか。
早く水蜜桃になって朽ちてしまいたい。と、何度憧れたか。

全部覗いた。ちょっと、こわかったけど
結果、わたしの「好き」の多くはここで作られた。

監督で追いかけた、初めての人でもあった。
続く『陽炎座』『夢二』の浪漫三部作は、もちろん。
肉体の門、殺しの烙印、河内カルメンけんかえれじい
それからピストルオペラ…全部好き。大好き。

pinoco0801.jugem.cc

10年以上も前の記事なので、文体もテンションもはずかしくって。
お見せできるようなものはほとんどなかったけど。
(これも十分はずかしいけど)
当時からあまり解って観ていないのがよく、伝わる。

それでも、はまった。
原色、レトロ、サイケデリック...
どんどん、はまった。

ももう、狸御殿ができた辺りで、もう。
さすがに新作はもうむずかしいかも。と、覚悟した。
おもむろに、飯が炊ける匂いのツイートなんかしたのが2、3日前。
あそこでも、ふと思った。
おじいちゃん、もしかしてもしかしたらそろそろ…って

だから、とっくに心積もりはできてたはずなんだけど…
思い出すとまだまだ、じわあっって

これから、監督作品を全部観る。
大丈夫。たくさんある。
まだ観てないの、知らないの。
たくさんある。
大丈夫、大丈夫。

たくさん遺してくれて、ありがとう。
ずっと粋でいてくれて、ありがとう。

長生きしてくれて、ありがとう。
大好き。おじいちゃん。
大好き。大好き。

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