うちのシナプスだって、本気出せば手をつなげる。

ごはんとお酒以外も上手に思い出せるよ!ということを証明する実験。尚、嫌いな作品をdisるほどのカロリーは残ってません。

『ラ・ラ・ランド(2016)』に関する記憶

そんな訳で今回は、『ラ・ラ・ランド』です。

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「ラ・ラ・ランド」本予告

尚、この作品は、以下の気分のあなたにおすすめと考えられます。

①THE エンターテイメント!って感じの映画を観たい→Yes
②今現在応援したい夢追い人がいる→Yes
③ジャズのことはよく知らないし、あまり聴いたこともない→Yes

その心は...

Ost: La La Land

Ost: La La Land



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というか、これねえ、これねえ
どんな人におすすめとか書き切れないよ...。

夢があったけど諦めた。って人でもいいし、
忘れられない恋がある人でもいい。
ミュージカル好きにもミュージカル嫌いにも観てほしい。

もちろん、好き嫌いはあるだろうし。
観終わった後に感じることだって、それぞれ違うだろうけども。
どの属性の人が観ても
「観て損した...時間返せ!金返せ!」
ってなる人は限りなく少ないと思うのおそらく

そうそう!
映画って娯楽だったよね!
エンターテイメントだったよね!

そういうを、再確認する感じ。

初めて映画を観て、たのしくなったときの気持ち。
初めて映画のこと、好きになったときの気持ち。

あの感じを思い出しました。


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観終わった後、真っ先に思ったのが、ね
「意外とリアルで大人な話だった」
という感想。

現役、または退役の夢追い人が観たら。
鈍ーく心の奥が痛むかも。
あるいは、昔の恋がじくじくしてくるかも。

知ってる感覚です。これ

予告に出てくるような、キラキラな側面ももちろん素敵なんだけど。
たとえば、喧嘩のときどこで衝突するのか?ってポイントとか。
たとえば、プロポーズを促した後の他愛無いジョークとか。

そういうのがいちいち、「ありそう」で。
リアルな描写がある分、物語が締まって見えるの。
そこで、夢のようなシーンとのコントラストが生まれていて。
物語に説得力と深みを出していると感じました。

飽きさせないメリハリって、ああやってつけるんだね。

特にわたしがすごいなと思ったのは
夢追い人にかける言葉のバリエーションで。

わたしの語彙がなさすぎなのか。
日本人が口にしなさすぎなのか。

たぶんどっちも、だと思うんだけど。

たとえば、これ。


映画『ラ・ラ・ランド』エマ・ストーンが歌う「AUDITION」

どうか乾杯を 夢追い人に
たとえ愚かに見えても
どうか乾杯を 心の痛みに
どうか乾杯を 厄介な私たちに

「愚かに見える」ことも
「厄介」なことも。
自分たちがいちばん、わかってるんだよね。
「心の痛み」がどれだけ痛いか。どれだけ深いか。
どれだけ治りにくいか。
当事者同士だからこそ、いちばん知ってる。

だから、諦めるな!まだイケる!って励ますときにあれだけの筆舌尽くすんだなーって
わたしもそれぐらいのバリエーションを持ちたい。


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カップルが持続していくために、何が合うことが必須かって話で。
たとえば、常識であったり。
たとえば、金銭感覚であったり。
あるいは、笑いのツボであったり。
または、セックスかもしれない。

ごはんの食べ方が気になって、無理!ってこともあるでしょう。
ファッションセンスがどうしてもダメで、無理!ってこともあるでしょう。
あるいはそれは、変な顔文字が耐えられなかったからかも。
語尾に(笑)ってつけるからどうしても無理!ってこともあるでしょう。

そりゃあもう、理由なんてそれこそ。
カップルの数だけあるんだろうけど。
最近思うことはね...

必ずしも、趣味が合わなくてもよいのだ。
ということ。

主人公のセブは当初、ジャズ好きっ娘じゃないと無理!とまで言ってるのに。
結局、ミアみたいな子を愛した。
逆にミアがもともとコアなジャズリスナーだったら。
ジャンルの違いとか、ジャズ論とか。
もっと衝突して、もっとめんどくさいことになっていたかも。

恋人同士っていうのはある意味、異種文化交流みたいなとこがあるよね。
何かしら、自分と近いところや似たところはあるにしろ。
今まで知らないところで生きてきた人だもの。

まるっと、知らない情報の塊みたいなところがある。
いくら本を読んでも、いくらぐぐっても出会えない、
生の情報。その、塊。

相手の好きなものを好きになることなんて、よくあること。
当たり前のこと。
影響されることはなにも、はずかしいことじゃない。


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わたしは賢そうな話はできないんだけど、わりとジャズは好きな方で。
セブがもともと好きな類のジャズももちろん、好きなんだけど。
彼が「魂を売った」的な部分で演奏される類いのジャズも、好き。
ジョン・レジェンドの歌も、とっても素敵だったもの。
どっちも好き。ゆる〜いリスナーだから。でも...

ケニー・Gはわたしも全然、好きじゃない。

好きな音楽を続けるためには?
というキースの回答は、大人の回答だと思いました。
自分が愛するジャンルに対する、ああいう向き合い方、支え方は一つあると思うの。

ジャズ畑の人じゃなくても、ミュージシャンじゃなくても。
一度は耳を貸すべき。


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あとね、あとね。
わりと真剣に妄想してみたんですけども。
二人とも夢追い人のカップルって、だーいぶ大変そうだなーって

どちらかが先に叶えてしまっても、残された方は焦るし。
先に叶えた方はうれしいけど、ちょっと申し訳ない気持ちも残ってしまって。
100%の気持ちで喜べないような気がする。

または。
どちらかが先に夢から降りたら降りたで。
残された方は、このまま続けていていいのかな?って大いに迷うし。
今まで同士だと思っていたのに...って裏切られたような気持ちにもなる。

魔物だね、夢って


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映像は本当にすごかった!

わたしも実は、ミュージカルは苦手めな方ではあるんだけどね。
冒頭、え。そこから始まんの?ってところからスタートするの。
早速、始まる。
もう、始まる。

ミュージカルに対する違和感ってどこから来るか?って言うと、わたしの場合
いやいやいや...今まで普通に喋ってたし、動いてたよね。
そこ急に歌わなくてよくね?
急に踊らなくてもよくね?
はしゃぎすぎじゃね?

という、気恥ずかしさ。
突如歌い、踊り出すという、特殊なテンションにノリきれない置いてけぼり感。
この辺りから、来る感じ。

みんな、お尻むずむずしてない?
だいじょぶ?

って気になっちゃう。

でもね、この作品はね。
冒頭があんなんだから。
早速、始まる。
もう、始まる。

最初っから、こういう気持ちで観ればいいのね!
あはははは。たのしーい !!!
となるんです。


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あと、カメラが、すごい。
いや、相当なお値段の代物だろうよ?あれは。
というのはもちろん、そうなんだけど。

ぎゅいーん、ぎゅーん!って、視線をぶんぶん振り回された。
そう、「視線」なのあれは

歌もダンスも演技も台詞も、もちろんすごいんだけど。
意識的な「視線」の存在が、もんのすごいの。
あるシーンでは、二人の高揚感が表現されていて。
あるシーンでは、ミアの孤独が苦しいぐらい伝わってくる。

あのカメラの動きは、本当にすごい。

あの「視線」を十分に味わうためにも、劇場では後ろ側の席をおすすめします。


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色も、カラフルだしね。
高速道路、プール、マジックアワー、星空、セブの部屋...とってもきれい。
赤黄青緑の50年代風のドレスも、くるくる回るとお花が咲いたみたい。

衣装の色での表現というのも、一つあって。
たとえば、ミアのドレス。
あまり気が進まないパーティに出かけるシーンでは、ブルー。
恋が始まりそうな予感のシーンでは、黄色。

セブのスーツだって、ずるい。
たとえば、ラスト。

セブのスーツの茶色は、彼の心境や二人の関係性を表しているでしょう。
グレイでも紺でも黒でも、ない。
ラストのスーツは、茶色で正解なんです。
あの乱れた前髪も相まってまた、似合うこと似合うこと。

日本人が茶色のスーツを着ると、急におじさんっぽくなるんだもの。
田舎の社会科の先生みたいな...いきなり老け感出ちゃうだもの。

いいないいなー。ずるいなー。


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鑑賞前に観ておくと●●倍楽しめる!みたいな記事。
公開前にいくつも見かけたけれども。

www.businessinsider.jp

たとえば、こういうの。
わたしはあえて、おべんきょしないで行きました。

最初の手触りを大事にしたいって人もいるじゃない。
初回はまっさらな気持ちで。
純粋にこの作品をたのしむことができました。

だから2回目、3回目は、答え合わせをしてみいいかな。
何度噛み締めても、何度でもおいしいよきっと

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