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うちのシナプスだって、本気出せば手をつなげる。

ごはんとお酒以外も上手に思い出せるよ!ということを証明する実験。尚、嫌いな作品をdisるほどのカロリーは残ってません。

【R-15 閲覧注意】『渇き(2009)』に関する記憶

そんな訳で今回は、『渇き(2009)』です。

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映画『渇き』予告編

尚、この作品は以下の気分のあなたにおすすめと考えられます。

①「※ただし、イケメンに限る」の呪いにかかっている。なかなか解けない→Yes
②「人妻」というフレーズだけでイケる。なんなら、翻弄されたい→Yes
③もっと目ヂカラがほしい→Yes

その心は…

テレーズ・ラカン〈上〉 (岩波文庫)

テレーズ・ラカン〈上〉 (岩波文庫)

テレーズ・ラカン〈下〉 (岩波文庫)

テレーズ・ラカン〈下〉 (岩波文庫)



うん。
わかりやすく、韓国ノワールにはまってしまっております。

これも『お嬢さん』と同じ監督作品と聞いて、観てみたんですが…
うん!わたしたぶん、パク・チャヌク監督好きですね。
画の見せ方とか世界観とか好きです。だいぶ

なんて言ってると。
復讐三部作を観てから、もの言えー!と叱られそう。
ええ、観ますよ観ますよ。そのうちね。
元気なときに、ね。

これもね。
役所広司、いつ出てくるのかなー?
と思っていたら。
最後まで出てこなかったよね…。

いろいろ、情報が錯綜しております。*1
主に、わたしのお脳の中だけで。

役所広司が出てくる方が、『渇き。』。
こっちは、『渇き』。
句読点に注目だよ★


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

さて。今回のこの、バンパイア。
従来のように、牙が生えてきたり。
瞳の色が変わったり。
急にバケモノの顔になる訳ではありません。

主イエスの御名により 次のことを許したまえ

皆が私を避けるように醜い姿にし
体を自由に動かせないようにしたまえ
 
涙を流せないよう 両方のほほをえぐり
罪を犯せないよう 唇と舌をつぶしたまえ
 
何も握れないよう 手と足の爪をはがし
何も背負えないよう 肩と背骨を曲げたまえ
 
正しい知力を持てないようにしたまえ
何の自負心も持てないよう局部を凌辱し
恥辱を与えたまえ
 
誰も私のために祈らず
イエス・キリストだけが 私を憐みたまえ

バンパイアになるきっかけが血液の病気」という設定なので。
顔や手や全身に、腫瘍ができるシーンはあるんだけど。
せいぜい、それぐらい。
終始わりと、人間らしい容姿を保ったままです。

ところで、バンパイアって。
どんなイメージがありますか?
水に弱い、にんにくに弱い、十字架に弱い。
杭で心臓を貫けば、大丈夫。
なんとなく、エレガントなイメージ…
そんな感じ?

今回のサンヒョンは、このいずれでもないです。

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なんというか、うーん…
エレガントとはほど遠いような…うーん、うーん…

ね。これがね。
どんどんどんどん、セクシーに見えてくるの。
不思議なことに

裸足で逃げ出してきたテジュに、そっと靴を履かせてあげるところとか。
角質だらけのテジュの脚*2を慈しむところとか。
事後のテジュの裸体を、白いシーツを包んであげるとことか。

ぼこぼこした、おっきな背中とか。
「ハッピー・バースデー テジュさん」の一連の下りとか。

いいんだよなー…うん。
すごく、いいんだよ。

ラストシーンなんてもう、ね。
疲れきった顔してるし、髪の毛もぼさぼさ。
だけどね。
やばいぐらい、色気があるの。
不思議なことに

しょうがないかな。
ここまできたらもう、いっか。
この人とだったら。

... ...
いや、それどころじゃないな。

心中するなら、この人だ!(※確信)
ぐらいまで、思えてくるの。
不思議なことに

そのかわりね。
今回のバンパイアはびっくりするぐらい、パワー系だよ!
こうもりの進化系という設定で。
「空を飛べるバンパイア」は、よく見るけれど。
バンパイアに怪力キャラって、あんまり浮かばなくない?

そこもちょっと新鮮な感じがして。
ふふふ、ってなる。

怖い映画には、笑いも大事だよね。
緩急は、大事。
息抜きタイム、とても大事。

輸血袋をちうちうする姿とか。
電柱に全力で八つ当たりするところとか。

ほんとかわいい。
ふふふふふ


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

さて一方、お相手の人妻:テジュさんですよ。
彼女は、すごい。
堕ちれば堕ちるほど、どんどんきれいになっていく。
これぞ、ファム・ファタール

裸足で飛び出すの
この地獄から早く抜け出したくて
あいつらは私を夢遊病だと思ってるけど
私は真夜中だけ目覚めてる気がするわ

サンヒョンは途中から、こんなこといけないわいけないわ…
地獄に落ちてしまうわ…ってなるのに。

テジュは最初から地獄にいるんだもんね…
そら、何も怖くないわ。

二人とも 地獄に落ちます
 
信仰がないから 落ちません

テジュさんとずっと暮らしたかったのに
地獄で会おう
 
死んだらおしまい
今まで楽しかったわ 神父様

彼女はことあるごとに、ね。
「信者じゃないから、セーフセーフ」
「信仰がないから、大丈夫だもーん」

って言うんだよね。何度も、言う。

俺は人を殺さないよう努力してたんだ
どれほど苦しかったか
血に飢えて錯乱しそうな時も
人を傷つけないようそっと歩いた
でも破ってしまった
お前を救うために

若干、言い訳がましいところはあるとは言え
サンヒョンは、どんどん罪悪感に苛まれるのにね。
一方のテジュは、殺人も「狩り」ぐらいの認識しかないの。
めちゃめちゃ楽しそうに、人を殺すし。
めちゃめちゃおいしそうに、血をすする。

そして。
どんどん、きれいになっていくんだ。

素直にくれる血はおいしくない
この方がおいしいわ
 
何人殺す気だ
 
さあね あと500人ぐらいかしら

人間じゃないから 人間らしく考えないで 神父様
 
じゃあ何だ
 
人間の血を食べるケダモノよ
キツネが鶏を食べるのが罪?

サンヒョンが抱えている罪の意識なんて、軽々と飛び越えて。
全然、振り返らない。
自分の快楽が、最優先。

刹那を生きているから、先のことなんか考えていない。
嘘だってつくし、バレたら開き直る。

バッドエンドしか、見えないじゃん。
だめだよ、こんなのに捕まっちゃ!
泥沼だよ!!!

って思うけど。
ファム・ファタールの魅力ってすごく、抗えないよね…。


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

女性といえば、もう一人。
そう、お義母さんね。
彼女がまた、別の意味でとても怖い。

諸事情により、後半ずっと台詞がなくて。
目だけで、演技をするんだけどね

視線の先には凝視する対象があります
誰かが4秒以上見つめたら
他の人は気になって反射的に見てしまう

この目が、強いの。
めちゃめちゃ、伝えてくるの。訴えてくるの。
ラストシーンまでずーっと、強いの。

目は、口以上に饒舌だけど。
実は、いちばんすべてを知っている彼女だもの。
そんな彼女から。

何が出てくる?
どこまで出てくる?

っていうこの、鬼気迫る攻防がね…

あんな緊張感のあるまばたきなんて、ちょっと他じゃ見られないよ。
息詰めて、見入っちゃった。…ふぅ


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

それからね。
バンパイアの映画なので。
進行のほとんどの時間が、夜なのねこれ。

映画の夜って、いろんな表情があるじゃないですか。

ある作品では、夢の中へと続く架け橋的な時間だったり。
ある作品では、恐怖におびえる時間だったり。
ある作品では、お酒や喧騒が似合う時間だったり。
ある映画では、オ・ト・ナ♥︎の時間だったり。

この作品の夜は、ね。
なんだか、怖くはないの。
怖いシーンもまあ、出てはくるんだけど。
暗闇自体は怖くはない。きれい
どの夜も、青くて濃くて底が無い。きれい

怖いどころか、むしろね。
のびのびした解放感とか。
わくわくした高揚感とか。
優しく包まれているような、守られているような。
ここならば、大丈夫。という安心感とか。

ああ。でも、これ…

バンパイアの気持ちだ。
もはや、人間じゃないから怖くないんだ。

すっかり、そちら側にされてしまったよ。
まだ一滴も、血は吸われていないのに。

オオカミの桃

オオカミの桃

*1:オールド・ボーイ』のポスターが役所広司に似ている気がして、余計混乱するのだよ...。

*2:なんせ、裸足で夜中駆け出すものだからね。足指、足裏カッチカチなのよ