うちのシナプスだって、本気出せば手をつなげる。

ごはんとお酒以外も上手に思い出せるよ!ということを証明する実験。尚、嫌いな作品をdisるほどのカロリーは残ってません。

【R-15】『ベロニカは死ぬことにした(2006)』に関する記憶

うーん…GW中はピンとくる公開作が個人的に少なくて。
旧作を観まくってました。
というか、そもそもね...

こちとらべつに休みじゃなかったしね!

そんな訳で今回は、『ベロニカは死ぬことにした』です。

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あらすじとしては、こんな感じ。

退屈な人生に絶望して自殺を図ったトワ(真木よう子)は、気づくと奇妙なサナトリウムに入院していて、院長にあと7日間の命だと宣告される。
彼女はサナトリウムの風変わりな患者たちとの生活の中で、おいしいものを食べること、音楽を奏でる喜び、満ちたりたセックスなど、人生を彩る愛しいものを知って変貌していく。
そしてトワは、絵描きになる夢を忘れられずに言葉を失ってしまった患者クロード(イ・ワン)と出会い、初めて人を愛するということを知り、生への欲求が芽生えてくるのだが。
 
(※Amazon | ベロニカは死ぬことにした [DVD] | 映画より引用)

尚、個人的にはこの作品は、以下のあなたにおすすめと考えられます。

①他人の評価は気にしすぎないつもりではいるものの、現実は...ねえ?と思っている→Yes
②自由に生きるってどんな感じか、とても興味がある。想像がつかない→Yes
③うつくしい映像と確かな演技力にどっぷり浸りたい→Yes

その心は…

(尚、劇中の台詞については耳コピであるため、正確ではない可能性が含まれます。ご了承ください)

ベロニカは死ぬことにした (角川文庫)

ベロニカは死ぬことにした (角川文庫)

「ベロニカは死ぬことにした」オリジナル・サウンドトラック

「ベロニカは死ぬことにした」オリジナル・サウンドトラック


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最初に言う話でもないかもしれないんだけど。
この作品ね、評判がわりと低いです。
映画.comで★2.5、Yahoo!映画では★2.3。

わたしが溺愛する映画って、低評判のものも多いんだよなー
これなんかも、そう。↓

pinocorita.hatenadiary.jp

春が来るたび観たくなるぐらい、わたしは大好きなんだけどなー
特に、ね。
チャリで二人乗りして、二人で修学旅行の計画を企てるシーンがあるんだけど。
あのシーンは実に、素晴らしいものです。
台詞も大好きすぎて、たまに音読するぐらい。*1

『嘘つきみーくん~』にしても、そう。
これも、そう。
評判が低い理由はなんとなく、わかるんだ。

たぶん、意味不明なの。
話についていけなくて。
みんな、置いてきぼりにされちゃうの。

わたしの好きな低評価作品って、だいたいそう。
でもね。べつにこれは
「わたしちょっと普通じゃないんです」アピールじゃないよ?
「これのよさがわからないなんて...( フッ」
っていう、上から目線の一般disでもない。

映画の見方や好みなんて、人それぞれでしょう。
他の人が気になる部分が、わたしは気にならなくて。
他の人が好きにならない部分を、わたしは好きになる。ってだけ。

ただ、それだけ。

だから、周囲の評価がどうであれ。
誰の「好き」も、間違いじゃない。
どっちが上とか下とか。
正しいとかおかしいとか。
全然、ない。まったく、ない。

無理に自分の「好き」を引っ込めなくても、いいよね。
「好き」は「好き」のままで、いいじゃない。


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図らずともこれは、この作品のテーマっぽかったりするんだよね。

自分の世界を持って 自分の世界に生きてる人は
みんな「狂ってる」ってことにされちゃうの
  
「回ってるのは太陽じゃなくて 地球の方だ」
って言ったガリレオがいたでしょ
 
「時間も空間もなくて あるのはその二つを合わせたものだ」
って言ったアインシュタインがいたでしょ
 
「地球の反対側にあるのは 大きな溝なんかじゃなくて大陸だ」
って言い張ったコロンブスがいたじゃない
 
それまでとはまったく違う音楽を作って
違う時代の人みたいな格好をして
「愛こそすべて Love Is All」
って歌ったビートルズがいたじゃない
 
最初はみんな「狂ってる」って言われたわ

わたしね、絵を見るのも好きなんだけど。
アール・ブリュットアウトサイダー・アートの展示を観ていると。
無性にうらやましくなることがあるの。

作品自体の好き/嫌いは、また他の目で見るからべつなんだけど。
精神が、うらやましい。
こういうのを描ける自由な心が、とてもうらやましい。

こんなことしたら、どう思われるかな。
変なヤツって思われないかな。
叩かれたら、どうしよう。
嫌われたら、どうしよう。

… …
そんなこと一切、考えないで。

描きたいから、描く。
好きなものだけ、描く。
やりたいから、1日中こればっかりやってる。

シンプルだなあ。
自由だなあ。
しあわせそうだなあ。

なので、自殺に失敗したトワにとって。
本当の自分に出会う場が精神病院というこの物語は
傍目からしたらすごく、悲劇的かもしれないけれど。
見ているとすごく、合点がいくの。

うん、いや。むしろ。
いちばん最適な場所のように思えてくるの。


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一つ訊いてもいいかな
君はなぜ自殺しようとしたんだろう
 
なんでもあるけど なんにもないから 

トワは、28歳の女性です。
女の人は特に、30前後で一度はこういうことに悩むと思う。
死にたくなるほど思いつめるかは、べつだけど。
このことに囚われる時期が、一度は巡ってくると思う。
すごく、わかる。共感できる。

なので、トワも病院に来たばかりのときは死にたがりの女なんだけど。
「あたしどうせもうすぐ死ぬしー」って、やたらやけっぱちの女なんだけど。
ショウコさんとか、サチとか。
他人の物語に触れる辺りから、少しずつ少しずつ、変わっていくの。

今日は自分でも 小さな賭けをしてみたの
また映画館の暗闇に入ってみよう
でも 発作はまたやってきた
 
でも あなたはすぐに立ち直った

それぞれのその物語がね、すごくいいんだ。
とても、大事なものを見せられているような気持ちになって。
とても、大切な話を打ち明けられているような気持ちになって。

「大丈夫よ」って。
彼女たちのことを抱きしめたくなるんだ。

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でもねえ、この作品ねえ
ちょっとぐぐって、出てくることって

真木よう子のおっぱいが!とか
真木よう子マスターベーションが!とか
真木よう子のセックスシーンが!!!とか

そんなことばっかりなんだけど。
わたし自身、好き嫌いうんぬんというよりね。
真木よう子に、あんまり興味がなくてですね…。*2

あと、これは真木よう子がどうこうって話じゃないんだけど。
脱ぐとすぐ「体当たりの演技!」
って言われちゃう風潮があまり好きじゃない
のね、わたし。
俳優だもの。
必要だと感じたら、裸にもなるでしょう。

なので、ごめんなさい。
この辺りのことは、スルーします。
よろしければ、ご自分の目でお確かめあれ。
きれいだったよ!

だからね。
真木よう子のおっぱいの話よりも、わたしはね…

中嶋朋子の歯茎の話をしたいの!!!


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おっっっそろしく、よかったよー中嶋朋子

彼女は子どもの頃からずっと俳優だから。
歯茎とか、やせっぽちのところとか。
しばしば揶揄されてきたこともあったと思うんだけど。

彼女が演じるサチは、こういう子なの。

あたしの問題はね
「脳の中にある化学物質が足りない」っていうことなんだって
 
でもね その化学物質があたしの病気を治してくれるといいな
って思いながらも ずっと狂ってはいたいの
 
だって 自分の夢見たように人生を生きたいじゃない
人に言われるんじゃなくてね

ね。
序盤ではうざいなー...なんだこのめんどくさい女って思うんだけど。
すごく、のびのびしていて。
意外と真実を知っている彼女を見ているうちに。

だんだん、だんだん...
サチのことがうらやましくなってくるの。
かわいく見えてくるの。

むしろ、この作品の中ではね。
彼女の歯茎と、痩せた背中と、筋張った首と。
それらが揃ってこその、サチだと思った。

彼女のあの身体が、完璧なサチだったよ。

たのしみにしていた初診のネタバレされて、すねる院長a.k.a 市村正親もかわいいし。
ホラーな片桐はいりだって、レアでしょう。
他じゃ滅多に見られないでしょう。

あと、それからそれから。
忘れちゃいけない…


だってもう、ね。
リスカ痕見せながらコロコロ笑う荻野目慶子とか、日本の宝でしょう。*3


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こんな性癖があるわたしです。
きれいな映像と、素敵な役者を見ているだけで。
しあわせ度数ががんがん上げられちゃう、お得な性分なの。
音楽も、すごくきれいだったしね。

展開が突然すぎるとか。
あのシーンの意味がわからないとか。
結局なんだったのとか。
時間の無駄とか。
みんなすごい怒ってたけど。

「見つめる」から始まる恋もあるだろうなーって思うし。
頭の中で不意に思い出すことって案外ふわふわしてるよねって思うし。

病院なんて、ヒステリックなぐらい白い壁しか見たことがないけれど。
あんなにきれいな建物で、住人もあんなにカラフルだったら。
突然いろんなことも起こるだろなーって思うし。
そりゃあ、出たくなくなるかも。

わたしはわりと、すんなり腑に落ちたよ。

うーん...そうだなあ。
正義とか矛盾とか整合性とか。
もともと、あんまり突き詰めない性分なんだよね。わたしは

「そういう人もいるよねー」と。
「そういうこともあるかもねー」で。
それで大抵のことを流したり、受け入れたりできちゃうの。わたしは
意味も意義も、考えすぎない。求めすぎない。

おめでたい脳みそなのよ。

この作品。"わたしは"好き。
えー?どこがー?とか。
趣味悪ーい!とか。
いろいろ言われちゃうかもしれないけれども。
どん引きされちゃうかもしれないけれども。

"わたしは"好き。
だから、この気持ちには蓋をしないで。
このまま、ここに置いておくね。

週刊真木よう子〔DVD-BOX 初回限定生産版〕

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週刊真木よう子公式本 (Gakken Mook)

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*1:またこれが声に出してみると、リズミカルで素晴らしい台詞なんだ...。

*2:トワに関しても、ベロニカ感薄かったなーって思ったぐらい。唯一、このメガネだけはものすごいベロニカ感だった。f:id:pinocorita:20170509012444j:plain

*3:※個人の感想です