どうも、あなたのぴのこです。
そんな訳で今回は、こちらのお話。
尚、この作品は、以下の気分のあなたにおすすめと考えられます。
①絶景が好き!夢のようにうつくしい島なんて見てみたい!行ってみたい!→Yes
②理想とか正しさとか、そういうものを追うのはもう、疲れちゃった→Yes
③「ありのままで」 なんて、きれいごとでしょ。生きづらいでしょと思っている→Yes
詳しくは... ...
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まず、このお話。
主に、男子高生:七草の視点で進行していくんだけどね。
設定が少しばかり、不思議なのね。
なんらかの理由で捨てられた人たちが集まる孤島、階段島。
住民は、ここへ来る直前の記憶を残されていないけれども。
自分がなくしたものを見つけると、元の世界に帰ることができる。
というのが、大まかなルール。
あとはね。
学校もあるし、友達もいるし。
そこそこたのしいことなら、毎日わりとあるし。
必要なものは揃っているし、みんな優しいし。
悪くない日常なの。
別段、困るようなことはなにもないのよ。
「ここの住民は魔女に守られている」
ということはみんな知っているのに。
誰も魔女に会ったことがないとか。
ときどき人が急に消えて、二度と戻ってこないとか。
不思議なことはあるけれども。
ネットが受信onlyだとか。
外の世界と連絡が取れないとか。
不便も、あるにはあるけれども。
だからと言って、急いでここを出なくちゃ!というほどでもないの。
悪くない日常なの。
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特にこの、階段島がね。
心から、うつくしいの。
海といい、丘といい、空といい。
青が本当に、うつくしいの。
坂道の上にある学校も。
雨宿りするトンネルも。
学生寮も、階段も。
灯台も、街並みも。
「はじめまして」なはずなのに。
全部なつかしくて、うつくしいの。
どれも、いつか夢の中で訪れたことがあるような気がするの。
このお話を撮るにはね。
「うつくしい階段島」が必須だと思うんだよね。
... ...というのはさ。
「なんらかの理由で捨てられた」ってさ。
随分と、不憫な話じゃん。
本人にしてみたら、だーいぶショッキングじゃん。
これがね。
あの階段島の、夢のようなうつくしさでね。
きれいに薄められてるの。
ぼやけているの。
「なんか、ここ来る前にいろいろあったっぽいけど。
まーいっかこのままでも」
って、流されそうになるぐらい。
だから、「うつくしい島」と言ってもね。
ただのトロピカルリゾートじゃ、だめなの。
世界遺産のような荘厳さも、ちょっとちがうの。
なつかしいのに、この世のものじゃないような。
包容力と浮遊感と既視感があるような「うつくしさ」
じゃないと、だめなの。
そこに説得力がないと、このお話の世界観が成り立たなくなるので。
実写化した意味がないんだけど。
この階段島のうつくしさは、パーフェクトです。
このロケ地を見つけられたこと。
ここで撮影できたこと。
まずはそこに、全力で拍手を送りたい。
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はい。そこで真辺由宇の投入ですよ。
彼女は、この島で流されなかった、ほとんど唯一の存在と言ってもよくて。
誰もが目を背けてきた「捨てられた」という事実と、このシステムに。
真っ向から異議を唱えるのが、この真辺由宇なの。
なんというかねえ... ...
初手からもう、異分子感ハンパないんだわ。
自分が納得できないことに対して。
すぐ行動する。
すぐ意見する。
その姿が、ときにはね。
他人のデリケートな部分まで、土足で上がり込んでくる感じすら、して。
イライラしました。かなり
うざかったです。かなり
正しけりゃいいってもうじゃないだろう。と
理想だって、貫けばいいってもんじゃないだろう。と
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そんなこんなで、かなり長い時間イラっと来てたんだけど。
なんで七草、こんなのに構ってんだよ?って思ってたんだけど。
たしかに、わたしなんかまあ。
階段島の住民みたいなところは、ある。
今目の前に問題があることは、重々把握しているのだけれども。
なんとなく、後回しにしちゃっている。というか
なあなあで終わらせちゃってる。というか
現状をうまくやる方を優先させちゃう。というか
すごく、思い当たるもの。
そっか。
真辺由宇にイライラするのは、そのせいか。
正しい言葉が、耳に痛いんだ。
自分に向けられてる気がして、ズキン!とするの。
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でね。
その「なくしたもの」は、結局なんだったのか?っていうことだけどね。
うっわー!というものです。
まさか、それ!?ってものです。
でもすごく、上手に上手に隠れてた。
見つけるためには、みんな。
丁寧に丁寧に、自分の心の中のひだひだを覗いてみて。
見たくもない自分とも、気づかないようにしてきた現実とも。
ちゃんと、対峙しなくちゃいけなるのね。
決して、楽には見つからないの。
必ずこのプロセスを経ないと、だめなの。
キツいと思うよ。
怖くてたまらないと思うよ。
回れ右したいでしょう。
逃げたいでしょう。
こんなにうつくしい階段島だもの。
ずっと夢の中のようにぼんやりしながら。
死ぬまでずっと、魔女に守られて... ...
それで、いいじゃん。
それでも、いいけどね。
でも、それじゃあ
前に進めないんだよね。
成長できないんだよね。
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これをちゃんと完遂した真辺由宇のこと。
最後にはわたし、祝福してた。
あんなに、イライラしてたのにね。
あんなに、鬱陶しかったのにね。
失敗するたび、修正しながら。
ただし、理想はブレないまま。
まっすぐ、前を見据えたままで。
彼女はしっかり、やってのけたもの。
最後にはわたし、抱きしめたくなっちゃった。
終わってみれば、ただ青いだけのお話じゃなくって... ...
さて。
わたしの群青とも、がっつり向き合わないと。