どうも、あなたのぴのこです。
そんな訳で、今回はこのお話。
考察とか批評とか、もうひと通り出てきたと思うんだけど。
それはそれとして。
わたしが感じたり考えたりしたことも、まとめておきたくてね。
『ジョーカー』心優しき男がなぜ悪のカリスマへ変貌したのか!? 衝撃の予告編解禁
尚、この作品は以下の気分のあなたにおすすめと考えられます。
①現在、心身ともに元気である→Yes
②「誰も傷つかない笑いってないのかな...」と考え続けているけど、答えが出ない→Yes
③京都介護殺人事件で涙した→Yes
詳しくは...
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まずね。
もうみんな、さんざん耳にはしてると思うんだけど。
この作品、重いです。しんどいです。
かーなーり、持ってかれます。えぐられます。
なので。
よく寝て、よく食べて。
体調を万全にしてから劇場に向かうことを、おすすめします。
でもね。
「かなり持ってかれること」がわかっていても。
確実に今、観るべき作品だと思う。
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今回のジョーカーはね。
ジャック・ニコルソン版のそれとは、ちがいます。
全然、ちがいます。
「みんな大好き」ヒース・レジャーver. のそれとも、ちがいます。
全然、ちがいます。
実はわたし、そんなにそんなにアメコミには詳しくない上に。
『バットマン』も、全部観ている訳ではないので。
この作品を『バットマン』シリーズの脈絡から、比較・考察することに関しては、他にいくらでも得意な方がいると思うので。
詳しくは、そんなみなさんにお任せするとして...(※あ。投げた。
いろんな見方があると思うんだけど。
今回のジョーカーはあ、わたしね...
並行世界でのゴッサム・シティでの産物と捉えました。
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今回のジョーカーはね。
何も、特別な存在ではないんだよね。
決して、若くない。
スタイリッシュでも、ない。
相手を翻弄するような器用さも聡明さも、ない。
こういう人、います。
今の日本にも、わたしたちの身の周りにも。
もしかしたら。
あなたも、わたしも。
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「みんな大好き」ヒース・レジャーはもちろん、わたしも大好きです。
「映画史上、いちばん好きなヒールを挙げて」
って言われたら、真っ先に名前を口にすると思う。
どうしたって、比較されるし。
もしかしたら、プレッシャーなんかもあったかもしれないし。
その上で。
「やってやんぜ!」的な気負いも強かったかもしれない。
でもね
ピエロのメイクをしながらの、あの涙。
ドタ靴での全力ダッシュ。
骨浮きすぎな、あの猫背。
テレビ出演を想定した、ひとりロープレ。
白い部屋での、あのダンス...
ホアキン・フェニックスだって、いやいやどうして。
十分、悪魔に魂売ってるじゃないの。
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主人公のアーサーはね。
ピエロとして、仕事をしながら老母を養っている身なんだけどね。
自身も障害を抱えているので、ギリギリの生活なのね。
そのことが原因で、周囲から奇異な目で見られたり。
バカにされたり、いじめられたり。
仕事で失敗することも、多いのね。
なんで、こんな思いを続けなくてはいけないんだ、と
で、そのうちに自分の出生の秘密も、知ります。
格差社会の不公平さも、痛感します。
なんで、こんな思いを続けなくてはいけないんだ、と
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ほんとは、アーサーはね。
コメディアンになりたいのね。
「この冷たい世界に笑いをもたらしたい」って
でも、アーサーがやりたいことはね。
「人を笑わせたい」
なんだよ。
「人を笑顔にしたい」
なんだよ。
「人に笑われたい」
じゃないんだよ。
決して、決して。
この作品の中には、笑うシーンがとてもたくさん出てきます。
それは、ピエロという仕事の性格やコメディ番組やアーサーの病気や。
いろんなものに掛かってると思うんだけど。
「笑っているのに、悲しい」
「笑っているのに、苦しい」
「笑っているのに、冷たい」
こんなシーンも、たくさん出てきます。
笑っちゃダメなところで、自分の首を絞めながら笑いを止めようとしているアーサーなんか。
今思い出しても、涙が出る。
「Don't forget smile !」って書いてある事務所のスローガンを
「Don't smile !」って怒りに任せて塗りつぶすアーサーなんか。
今思い出しても、胸が苦しい。
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でね。たくさんの
「なんで、こんな思いを続けなくてはいけないんだ」
を溜め込んでね。
アーサーは、"持ってる側"の人間に対して、ある罪を犯します。
その行動は、最初は衝動的なものだったんだけど。
その行動によって、"持っていない側"からの熱烈なpropsを得られるのね。
今まで「透明な存在」であり続けたアーサーが、です。
その初めての体験から。
アーサーは「ジョーカー」として、覚醒するんだけど...
ほんとはね。
ヤバいゾーンから浮上するのに。
何度か、分岐点があったと思うんだわたし
たとえば。
市の職員が、彼の話をしっかり受け止めてくれる人だったら、どうだったかな。
たとえば。
幼少時代から、家族にたっぷり愛される存在だったら、どうだったかな。
たとえば。
つらいときに寄り添ってくれるパートナーがいたら、どうだったかな。*1
結果は、ちがっていたかもしれないよね。
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なにも、ゴッサム・シティだけの話ではなくて。
80年代のアメリカだけの話ではなくて。
今もいます、こういう人。
日本にも、たくさんいます。
翻って、自分の行動を見返してみて。
彼らのこと。
厄介だと思っているフシが、あるかも。
めんどくさいと思って、関わらないようにしているところも、あるかも。
ヘルプサインを無視していることだって、あるかも。
思い当たることが、ありすぎる。
個人ができることなんて、ちいさいと思うよ。
でもね...
彼らの話に耳を傾けること。
彼らに興味を持つこと。
彼らを「透明な存在」にしないこと。
まずは、ここがはじめの一歩なのかも。
「これが人生だ」なんて。
あまりにもあまりにも、だよ。
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わたしはこの作品は2回観ていて。
1回目は、公開初日に観に行ったんだけどね。
告白します。ごめんなさいします。
当初は、これね
これ、日本ではヒットしないかもな...
って思いました。
重すぎて。絶望的すぎて。
正直言うと。
動物とか子どもとか家族の愛とか不治の病とか、そういうもの持ち出して。
それ泣け!やれ感動しろ!って押し売りしてくる風潮に、一時期げんなりしていたのね。
わたしたちの感動は、そんなにそんなに安直なもんではないぞ!
と、怒ってもいて。
そういう風潮に、まじ勘弁...と思っていたくせに。
ナメてて、ごめんなさい。
考えを改めます。
あのね、わたし今回のジョーカーを観終わったあと。
この事件のことを思い出しました。
大丈夫。
わたしたちは、こういう問題にだってちゃんと共感できるし。
考えることもできる程度には、ちゃんと成熟している。
すぐに、答えは出なくたってね。
わたしたちなりの、「これが人生だ」を見つけるから。
がんがん、問題提起してきてよ。
*1:この辺りのたらればの描き方が絶品なので、悲しくも大好きなシーンです。