うちのシナプスだって、本気出せば手をつなげる。

ごはんとお酒以外も上手に思い出せるよ!ということを証明する実験。尚、嫌いな作品をdisるほどのカロリーは残ってません。

『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん(2011)』に関する記憶

そんな訳で今回は、『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』です。
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映画「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」予告編

評価、低いなあ...。*1
「意味がわからない」
「演出が気持ち悪い」
「シリアス部分の掘り下げが浅い」
などなどなど

ええと、あのね。改めまして
「嫌いな作品をdisるほどのカロリーは残ってません。」
これ『うちプス』の基本スタンスです。
もうねえ...好きなもののことしか喋りたくないよわたし。
なので今回も、全力擁護しようと思います。

とはいえ、たしかに。
なんかよくわかんなくてもや〜っとする部分はあるよね。この作品

3回観直したわたしが、鑑賞のコツのようなものを手前勝手に押し付けるよー
よろしければ、ご参考あれ

①基本ファンタジーですこれ
②いちいち芝居がかっててるけど早めに慣れてー
③すべてはホントでウソかもね

その心は

脳内ならば何だって起こるよ

低評価のご意見で特に多かったのがね。
急に空飛べるようになるとか、空中で止まって会話できるとかはーあ?という

うーん...じゃあ、逆に訊くね。
血しぶきブッシャー!臓物ドッバー!って、そんなエンドほんとに見たい?
この期に及んで。

わたしは、いい。もう、いい。
あの子たちもうそんなの、さんざん見たでしょう?

死ぬ一歩手前で、一生分の出来事が走馬灯のように。とか
恋に落ちた瞬間、世界から音が消えた。とか
お前のパンチなど止まって見えるぜヒャッハー!とか

そんなんと似たようなことなのよ。たぶん

「あんな信じられないぐらい、不幸の塊みたいな事件に巻き込まれても、あなたと一緒の世界にピントを合わせれば、彼女は幸福」
「幸せの背景は不幸一色なのに」

逃避かもしれない。
その上での脳内妄想かもしれない。
何らかの心象風景かもしれない。

あんな悲惨な体験をした子たちも大きくなって。
いろいろ絶望したので、自死しようとしようとしたり。
さらに悪いことに巻き込まれて、死にそうな目に遭ったりするんだけど

そのたびに、神様が奇跡をくれる。

そんな、優しい優しいエンドがあってもいいと思うの...だめ?

太陽だって、直視したら目がつぶれる

たとえば、これは刑事との会話の下りなんだけど

「(一通りの妄想話を聴き終わった後で)それって本当?」
「本当って何ですか?」
「嘘じゃないってこと」
「嘘だけど?」
「ドーナツなんて食べなかったでしょ」
「うーん...よく覚えてません。僕には真ん中がないですから」
「真ん中って記憶のこと?」
「...さあ?」

ね。びっくりするぐらい、噛み合ってない。
人を喰ったような態度で、のらりくらり。
どの質問にも答えてない。まじめに答える気なんて、さらさらない。

日常ではそこまで大ボラ吹かなくたって、やっていけるもんね。普通
「なんだお前」「何考えてんのかわかんない」ってなるよね。
常人から見たら、不可解な存在。

こうやって、焦点をズラして生きてきたんです。
むしろ、こうじゃないと生き抜けなかったんだよ。
まともに向き合ったら、死にたくなるもの。

「嘘つきの嘘は、本当なんだよ」

ここなの!ここー!
この大前提をどうか、心に留めておいてください。

結局、殺したの?殺してないの?
まーちゃんのこと守りたいの?そんな気ないの?
なんでわざわざ「嘘だけど」ってつけるの?混乱すんじゃん!

わかるー。よく、わかるー。
でもね、たぶんね...思ったんだけど

言い訳とか。逃げ口上とか。その場しのぎとか。
不快な嘘ばかりじゃ、ないんだよ。
いろんな嘘があるの。
優しい嘘とか。愛ゆえに嘘、とか。

僕らはまた、やり直す
何度だって、やり直せる
だから僕はまた、君に嘘をつく

罵倒されたり、引っ掻かれたり、もの投げられたり、忘れられたりするけれど。
やり直すたびにぱあああ!ってなる、あのまーちゃんの笑顔。

みーくん、表情ないからわかりにくいんだけど。
あれ、せめてものご褒美であってほしいなあ。

その他、雑感

■顔面認識力が薄弱なわたし、激しく混乱する

記憶力もそうなんだけど。
そもそも人の顔を認識する力がもんのすごーく弱いんだよね、わたし。
『うちプス』1本書くのに、最低2回は観直してるもん。*2

たとえばね。
今回の件でわたし、染谷将太にかなり恋してしまったんだけど。
これも坊主に長い睫毛、ダボ服で死んだ目...
って揃ってないと次回認識できるかどうか、激しく不安。

だって寄生獣の新一役って、ずーっと東出昌大だと思ってたぐらいだもの*3

まーちゃん役にしても、そう。
ずーっと、柴咲コウだと思ってた。*4
大政 絢 - Google 検索

それで主題歌担当とか紛らわしいことすんなよううううう(※錯乱


■素直に甘さを享受すればいいじゃない

学生のときにできなかったことを妄想して。
心の臓がぎゅうってなることって、ない?
わたしは、あるよ。よく、ある。

なにせ基本、ノスタルジー萌え。
この手の世界はとことん、弱いんです。
ノスタルジー - Google 検索

自転車の二人乗り。
授業中に立ち上がって、突然キス。
交差点のど真ん中で、手をつないでキス。
どうでもいい映画(ゴジラごめん!)を観ながら、とりとめのないおしゃべり...

いい!実にいい!!!おかわりーーー!!!

幼少時代とのコントラストをつける意味合いもあると思うんだけど。
二人のラヴラブ期の甘さがほんとにいいの。
勢い余って、ためしに書き起こしてみたんだけどね。
リズムもとってもきれいなんだなー

「みーくん、二人で修学旅行行こう!」 
「え?うん...夏になったらね」
「うん。どこがいいかなあ?」

(中略)

「ベルリン、世田谷、アラスカ〜!」 
「世田谷、近くね?」
「じゃあ、代々木上原!」 
「千代田線ですか」
「北千住でつくばエクスプレスに乗り換えて...カナリア!」 
「え?それどこ?」


「もっと行きたい!北京、モンゴル、ボスニア・ヘルツェゴビナ...」
「でも、まーちゃんワガママだから」 
「そんなことなーいー」


「うんと、でっかい気球で空中キャンプ!」 
「じゃあ、まずアメリカでトランジット」
「1泊2日の気球旅行!」 
「案外短いのね」


「ねえ、時間が足りない」 
「え?」
「全部終わんない」 
「全部?」
「全部するの!やりたいこと、全部!行きたいとこ、ぜーんぶ!!!」
「わかった!(きっと...嘘になるんだけど)」 

あれだけ現実と噛み合ってない二人が、このテンポの良さ。
のびのびしてる。いきいきしてる。

いいんだよなあ...このシーン。10回は観ちゃった。
何度目でも、新鮮にじわあってくるんだよなあ...


■意外とよかった、痛・鈴木京香

というか、坂下先生が、かな?
かなり、よかった。

たぶん3、40代って設定なんじゃないかなー?
いずれにしろ、あんな靴下とかあんなTシャツとか...だーいぶイタい。
精神科医ってやっぱり大変な仕事なんだろなーって思うけど。
それを以てしても余りあるイタさ。いい!!!

「彼女、あなたのこと思い出さないかも知れない」 
「僕らまたやり直しですか」
「(ネタバレに関わるよ!読みたい人は反転でカモン↓)
 みーくんは、誘拐監禁事件を無かったことにするために、御園が作り出した王子様。あなたが一生みーくんを演じるのは無理よ
「無理、ですか...」
「それでも彼女の前に現れて、また同じことを繰り返すつもり?」 
「マユが望むなら」
「あなたは?あなたはどうなの?御園と一緒にいて幸せ?」 
「はい。あ...」

このあと彼は「嘘だけど」を継ぐつもりだったはずなんだけど。
先生にそれを遮られるんだよね。
その上、バシッと叩かれる。けっこう強めに。

たぶん、彼女もね...この事件を巡って、何度も何度も打ちのめされたと思うのよ。
何度も落胆して、何度も絶望して。
どこまでが自分でできることで、どこからが無理なのか。
何度も何度も考え抜いた人だと思うのよ。10年間ずっと

だから、このバシッ!はたぶんエールだと思うの。彼女なりの
10年経って、オバチャン的なたくましさも図太さも身につけて。
つきすぎず離れすぎず、おおらかに二人のことを見守っていこう。
そういう結論に至ったんだと思う。

困難な道だとは思うんだけど、本気で強く止めるんじゃなくて。
その先に希望を持ちたいんだと思うの。彼女自身も


■原作と張り合わない道をゆこうよみんなー

これ原作がラノベなのね。
なもんで。
その界隈の方々がめっちゃ怒ってるよーこわいよー

映画制作がこのスタイルを続けていく限り、ね。
原作ファンに酷評されるってこれ、どこまでもついて回る問題かなって思います。

そもそもね...
原作の素敵エピソードとかニュアンスとか。
2時間やそこらで、すべて盛り込める訳がない。

どうしても、薄くなっちゃう。
どうしても、はしょらざるを得ない。

なので、ある時期からわたし。
別物としてたのしもう。という方向にシフトチェンジしました。*5

原作にしかできないことが、ある。
想像力には限界がないから。
映画にしか、できないことも、ある。
たとえば、音効の妙、とか。*6

較べちゃ、だめなのよ。
較べられるものじゃないのよ。たぶん


まだ模索中なので、スタイルころころ変わります。
細かいこと気にしなーい

*1:Yahoo!映画で星2.86、映画.comで2.9だってさ

*2:え。この人序盤から出てきてんじゃん。びっくり!みたいなことよくあるある

*3:今見ると、身長だってだいぶ違うし、ゲジ眉ぐらいしか一致項目ないじゃんねえ?

*4:あれ?柴咲コウってまだ制服イケる歳だったっけ?違和感といえば、ほのかにそれぐらいが頭をかすめた程度

*5:あるいは...観ると決めたものは、読まない。読んだものは、観ない。

*6:「世界で一番キミを××してる」の表現とかかなりよかったと思うのー