そんな訳で今回は、『アシュラ』です。
着々と、ずぶずぶと。
韓国ノワール沼に沈められつつありますな。
尚、この作品は、以下の気分のあなたにおすすめと考えられます。
①魅力的な悪役に会いたい→Yes
②でも、任侠映画って気分ではない→Yes
③「和製○○」といった二つ名には、いささか抵抗がある→Yes
その心は…
(※劇中の台詞については、いささか心許ない記憶に頼ったものであるため、正確ではない可能性が含まれます。ご了承ください)
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すごいですこれ。
悪いヤツしか、出てこない。
しかも。
主要キャラが5人いるんだけど。
ワルのタイプが全員違うのね。
でも、安心して。
どのキャラも、もれなくクズです。
クズすぎて、逆にスカッとする。
気持ちいいわー。
その5人がね。
それぞれの立ち位置やら思惑から。
それぞれ、政治的な取引をするのね。
簡単には、手の内見せない。
うっわーまだこんなカード持ってたんだ...
って罠が、二重にも三重にも仕掛けられていたり。
追いつめられて、アドリブかましたり。
立場が逆転したり。
一筋縄では、いかないんだよね。
みんな喰えなくて。
みんな、いい。
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特筆すべきはやっぱり、あの市長パク・ソンベ!
今まで、わたしの中で悪役といえば。
『ダークナイト』のジョーカーがダントツNo.1だったんだけど。
それと、並んじゃうかも。パク市長。
笑顔が多いのよ。
しょっちゅう、ニコニコしてんのよ。
いろんな人に、いろんなところで。
でもね...
まったく、目が笑ってない。
その目 絶対に信じてはいけない目をしている
だってね...
こんな目だよ?
だめだめだめだめ...
絶対に、信じてはいけない。
現実でお会いするのは、ご勘弁願いたいけれど。
サイコパス型の悪役って、やっぱり華がある。
こういうのを観るときは、フィクションとして楽しみに来てるから。
何し出すか読めないキレッキレの悪役が出てくると、やっぱりアガる。
魅力的だなーと思うシーンは、いっぱいあるんだけど。
相手によって、状況によって。
態度がコロッと変わるところなんか、ほんと最高。
特に、対市民とか。対マスコミとか。
変わりっぷりが清々しいぐらい、ゲスい。
いい笑顔?見せます見せます。
出し抜きのスタンドプレー?やりますやります。
遺族と号泣?やりますやります。
公衆の面前で土下座?しますします。
尻?見せます見せます。
なんぼでも、見せます。
人間ってもんは、相手のことじゃなく
自分のことだけ考えるもんだ
これを貫いていて、最後まで矛盾のない悪役です。
気持ちいいわー
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あと、わたしね。
バイオレンス映画の中の、食事のシーンがすっごく好きなのね。*1
この手の映画ってさ。
けっこう、気を張りつめて観ちゃうでしょう。
そこに、ごはんのシーンが出てくると。
ちょっとだけ、ほどけたり。
後から思うと、小さな暗示が出ていたり。
主人公の刑事ハン・ドギョンにはね。
ムン・ソンモっていう、弟分のバディがいるんだけど。
二人で、屋台っぽい店で定食を食べるシーンが何度か出てくるんだよね。
そこで、お魚の切れ端をやり取りするシーン。
あそこなんかも。
二人の関係性をうまいこと、切り取って見せてる。気がする。
ごはんシーンといえば、そうそう。
忘れちゃいけない、もう一つ。
市長がユッケジャンの話をするシーン。
ここもすっごく、いいんだよ。
彼の腹黒さ。これから起こることへの暗示。
そういうのが全部含まれていて。
でも、語り過ぎてない匙加減がかっこよくって。
だって...
想像してみてよ。
ユッケジャンだよ?
いやあああ
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この作品の魅力には「女っ気のなさ」というのも一つ、あると思うの。
ずっと、ガサガサしている。
ずっと、ゴリゴリしている。
日本の任侠ものだったら、ハリウッドのマフィアものだったら。
情婦の一人や二人。
一緒になりたい女の一人や二人。
とっくに、出てきそうだもんね。
そんで、文字通り。
寝首を掻かれたり。
「このヤマが終わったら俺たち...」
ってフラグが立ったり。
これは、ちょっとだけ奥さんが出てくるけど。
せいぜい、それぐらい。
ずっと、ガサガサしている。
ずっと、ゴリゴリしている。
ストーリーだけじゃないよ?
画作りももう、とにかく男臭いの。
彩度を落として、ちょい黄色に転ばせて。
締め色の黒はぐぐぐ、と効かせてある。
わたしも夜の街を撮るときは、がっつり暗いのが好きなんだけど。
(※唐突に自分で撮った写真を忍ばせるとかなにこの強心臓)
画的にも、ずーっとかっこよくて。
口開けて見てた。
好みです。ど真ん中です。
撮りたいのは、こういう夜なの。
ザラザラ。ゴリゴリ。ガサガサ...
何のシーンのときも、砂壁を引っ掻いたような質感がずーっと続くの。
やんなるぐらい、男臭い。興奮する。
なんなら、ちょっと...妬けるぐらい
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主人公を演じたチョン・ウソンにしろ。
市長役のファン・ジョンミンにしろ。
日本の俳優の「誰か」に似てるでしょう。*2
お隣の国だから。
顔が似てても、そりゃあ当然だろうけども。
日本の俳優の演技レベルを軽々飛び越えてて、正直びびる。
まだせいぜい3、4本しか韓国映画観てないけど。
それでも、わかる。
今さらかもしれないけど、わたしにも言わせて。
全員が全員、演技のレベルが段違いだよね。
そうだよなー。
本がしっかりしてて、役者が巧ければ。
そりゃあシーンは盛り上がるよなーって
今さらかもしれないけど、わたしにも言わせて。
お隣は相当、先行っちゃってるよね。
もうだーいぶ、差つけられてるよね。
やばいやばい
クソうんこみたいなアイドル映画とか。
マザフ●ッキnゴミみたいな原作漫画映画とか。
そんな中身のないの量産して喜んでる場合じゃないよ。
やばいやばい
ちょっと、焦ろう。
やばいやばい
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あと、そうそう...褒めたいところがもうひとつ。
血ね。
血が、違う。全然違う。
あんまり、鮮血じゃないんだよね。
赤黒くて、粘度が高いの。
ドロッとしてる。
邦画の中であんな血って、あんまり見たことないや。
あんまり、ピューッと飛び散らないしね。
どぅくん、どぅくん、って脈打って出てくるの。
あ。まだ心臓動いてるんだな。
いや。止まったな。ってわかるの。
そこに派手さはないんだけど。
すごく、生々しい。
ハリウッドにも深作欣二にも、ない表現では?
刑事の勘ってやつだ
俺がどんなにあがいても
永遠に抜けられない気がする
それこそが、「阿修羅」という地獄なのかも。
最後に笑うのは?
結局手を汚すのは?
勝ったの?負けたの?
抜けられたの?
わたしの目では、解釈では...
あのラストは、ハッピーエンド。
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*1:『パルプ・フィクション』でもさ。ビッグマックの話するシーンがあるじゃん。あそこ大好きー!
*2:誰に似てるかは言わないけれど。あえてここでは、言わないけれど