うちのシナプスだって、本気出せば手をつなげる。

ごはんとお酒以外も上手に思い出せるよ!ということを証明する実験。尚、嫌いな作品をdisるほどのカロリーは残ってません。

『ブルーアワーにぶっ飛ばす』に関する記憶 - アーバンに生きようったって、自分のルーツの「ああはなりたくない」の裏側に気づけないことには飛べないわという、今年の邦画中いちばん刺さったお話

どうも、あなたのぴのこです。
そんな訳で、今回はこのお話。

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「ブルーアワーにぶっ飛ばす」予告編

尚、この作品は、以下の気分のあなたにおすすめと考えられます。

①田舎のことが好きになれない→Yes
②自分のことが好きになれない→Yes
③幼少時代は無敵だったはずなのに、なぜか最近どん詰まっている→Yes

詳しくは...


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主人公の砂田は、映像監督の仕事をしていて。
「動いてないと死んじゃう」ってタイプの性格なのね。

子どもはいないけど、結婚はしていて。
そこそこ、夫婦仲はよくって。
だけど、仕事仲間とも不倫はしていて。

朝の3時に帰宅しても、特に心配もされない。
本人曰く。
「そういうことで連絡しあうの、ウザい」って

不倫相手とも、ダラダラ続いてて。
相手と本妻の間に第二子が生まれるって聞いて、ざわつくものの。
本人曰く。
「今さら嫉妬とか別れ話とか、そんな関係でもないし」って

つまりね。
「がっつり、向き合う」という関係を、誰とも築いていないのね。

そういうの、ウザいし。
ダルいし、ダサいし。って


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とはいえ。
もともと、おばあちゃんっ子の砂田です。
長らく臥せっていたおばあちゃんが元気になったので、見に行くことになって。
無職なのに勢いで外車を買っちゃうぐらい、自由な友人:キヨと一緒に実家に帰るのね。

キヨも、砂田が頼んで付いてきた訳ではなくて。
暇だし、なんかおもしろそうだから...
ぐらいの、軽〜い理由でついてきちゃうんだけど。

大っ嫌いな田舎と自分との間に、他者の視点が入り込むことによって。
砂田の感情にも、変化が出てくるのね。


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たしかにね。
砂田の実家にしても、家族にしても、田舎にしても。
かなり、めんどくさい。
うわあああああ... !!! ってなる。
うちも似たようなもんだから余計、なる。

たぶん、砂田は10年近く実家に寄りついてないと思うんだけど。
ひさしぶりに帰ってみたら。
状況がさらに、ヤバくなってるのね。
否定的な意味で。

骨董収集っていう新たな趣味にはまって、500万円つぎ込んじゃっても家庭を顧みない、父親。
そんな近況報告を早口でまくし立てる、女子校教師なんて大丈夫か?な、兄。
ごはん作っても誰も食べてくれなくなった末に、冷蔵庫にコンビニのおにぎりを詰めまくっちゃう、母親。

これは、ヤバい。


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でも、そうだね。
人と関わるのって、めちゃめちゃエネルギー要るもんね。

衝突するかもしれないし。
傷つくかもしれないし。
傷つけるかもしれないし。

そこに労力割きたくないって思ったら。

できれば、関わりたくない。
距離置きたい。

わかる。
とても、わかる。

そんな、めんどくさい実家や田舎のこと。
キヨは、「おもしろい」「かわいい」「優しい」と評するのね。

それは、余所者ゆえの無責任な発言かもしれないけれども。
無責任ゆえ。
なかなか痛いところも、突いてくるんだよね。

もともと、ダサいっすよ

めんどくさいと思っている実家も、家族も、田舎も。
十分こっちのこと、めんどくさいんだ。きっと
お互い様なんだ。きっと


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さて、「ブルーアワー」とはなんぞや?って話なんだけどね。

ブルーアワーとは

一日の始まりと終わりのあいだに 一瞬だけおとずれて、空が青色に染まる静寂の時間。
ちなみに日本では、夜明け前の 薄明かりの時を 「彼(か)は誰(たれ)時」、日が沈み夜になるまでを 「黄昏時(誰(た)そ彼(かれ)時)」とも呼ぶ。

(『ブルーアワーにぶっ飛ばす』公式サイトより引用)

うんうん、わかる。

ああいう、全能の時間帯ってあるよhね。
なんでもできそう!って
どこまでも行けそう!って

大嫌いな地元に似たところが、自分の中にもあって。
めんどくさい家族とそっくりなところが、自分の中にもある。
同族嫌悪かもしれない。

よく「東京jのひとは冷たい」とか言われるけど、あれだって。
膨大な数の"東京在住田舎者たち"の、壮大なコンプレックスかもしれない。

「ああはなりたくない」
「一緒にしないで」

ってピリピリするの、もう疲れたよね。

ここらで、肩の力も抜いてさ。
あっちとこっちの境界も、曖昧にしちゃってさ。

ダサいわたしも、めんどくさいわたしも。
ちゃんと認めて、ちゃんと向き合ったら。

あの青が包容してくれるよきっと
なんせこれから、新しい朝が始まるんだもの。

そこからじゃない?
どん詰まった壁からの、はじめの一歩って