うちのシナプスだって、本気出せば手をつなげる。

ごはんとお酒以外も上手に思い出せるよ!ということを証明する実験。尚、嫌いな作品をdisるほどのカロリーは残ってません。

『SOUL CAMP 2017』に関する記憶 - ロイ・エアーズの徳の高さにほぐされて、みんなでエリカ・バドゥの子どもに転生したお話

どうも、あなたのぴのこです。
今回"も"、映画の話はお休みです。

さてさて。
先日、こんなところに行ってきました。
じゃん↓

soul-camp.jp

f:id:pinocorita:20171007152751j:plain
f:id:pinocorita:20171009002324j:plain

わたしが行ったのは、今回初めてだったのですが。
過去2回の顔ぶれを見てみると、どうやら。
SOULというより、HIP HOP寄りのフェスであるっぽい。ふむ

尚、このお話は、以下の気分のあなたにおすすめかも。
①プロの仕事とは?と、自問自答し続けている→Yes
②じじばばになったとき、どうなっていたいか?というビジョンが、まだぼんやりしている→Yes
エリカ・バドゥ信者の不思議ちゃんとつきあって、エラい目に遭ったことがある→Yes

その心は……


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

わたしが行ったのは、初日だけだったので。
タイムテーブルとしては、こんな感じ。

f:id:pinocorita:20171008135707j:plain

SHOWBIZ & A.G.とか。
BRAND NUBIANとか。
ヘッズにはたまらんたまらんな顔ぶれのようなのですが。

わたしはまだ、言うてもヘッズ見習いなので。
いっつもここでヒプホプ、ヒプホプうるさいわりにはね。
実はHIP HOPの外タレを見るのは、初めてなんですよね。

なもんで。
ヘッズ歴80年代からの友人に
「SHOWBIZのアティテュードがあああ!!!」
とか吠えてたら。

(わかるよわかるよ、ぴのこくん。
憶えたての言葉はいっぱい使いたいよね……)

みたいな表情で目を細められたので。
ここでは言わないもーんだっ(※言ってる

彼らについてはまだまだ卵すぎて、ろくな感想を書けないので。
来年に乞うご期待。ということで

今回ここでは、ROY AYERSERYKAH BADUのことについてのお話ね。


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

ろいろいはねー……エレクトリックなビブラフォンを使ってました。
鍵盤の下についている共鳴管?みたいなのがついていないか、すごく短いかで。
足踏みのバーによって、オクターヴを変えたりする楽器のようです。
もともとのビブラフォンよりは、だーいぶ小ぶり。
(※ぐぐっても、あまり詳しく出てこないので、もし違ったら優しめに訂正してね。

で、1曲目が『Seachin'』だったのね。
わたしですら知っているような、ろいろいが誇る代表曲の1つです。


Roy Ayers - Searching (HQ)

この曲ね、はじめのところでろいろいの歌が入るんだけどね。

うん、と……あれ?
マイクの調子、悪くない???

とは言っても、わたしはそんなに耳に自信がある訳ではないので。
勘違いかなー?思い過ごしかなー?って思ってたんですよね。
もしかしたら、喉の調子が悪いのかも……とも(※ろいろいごめん!

でね、曲が進んでいくと。
ビブラフォンのソロになるじゃないですか。
ろいろいもね、マレット(=ビブラフォンのバチ)を手に取っていざ!となったので。
いよっ!待ってました!と

……
……
……

んんんんんー?
音出てないよー

これはいよいよ、思い過ごしでもなんでもないわ。
全然、音が聞こえないわ。

ろいろいもね。
「どうなってんのー?」
みたいな表情で、脇のスタッフの顔を見るんですけれども。
コード的なものを交換しても。
いろいろ抜き差ししても、なかなか復活しないもんで。
こっちも、ひやひやしてきます。

その間ずっと、何食わぬ顔で繋いでいるのが、ドラムとキーボード。
まったく動揺を見せずに音楽にしていて、たのしませてくれたの。

やっぱりさすがだなー!一流は!!!
と、こんなところからも気づいた次第。

一方、スタッフも、取っ替え引っ替えでいろんなことを試してて。
そのうち黒いガムテを持った人とかもやって来て。
イケる?今度こそ、イケる?
ってなって。
ろいろい、改めてマレットを落とします。

……
……
……

うおおおおおお!
今度こそ、出たーーーー!!!

観客が、一つになった瞬間です。
screaaaaaam !!!
あれはなかなか、気持ちよかった。

でね、でね。
ここからの、ろいろいの巻き返しがすごかったー。

ハートウォーミングで、クール。
かつ、グルーヴィー。

そうなんだよ、そうなんだよ。
みんな、これが聴きたかったんだよ。

言うても、ろいろいね。
ろいろいおじいちゃん(77)ですよ。

ミュージシャンとかシンガーとかって。
歳をとると悲しいかな、リズムが与太ってくる人が多いと思うの。
早い人だと、40~50代から間延びしてくる。

そういうのが、一切なかった。
びしー!っとしていて。

ハートウォーミングで、クール。
かつ、グルーヴィー。

ちゃんと、聴かせるプレイでした。

みんな大好きこの曲も演ってくれて、大満足。


Roy Ayers - Everybody loves the sunshine 1976 (remastered audio)

サビのところ、全員で大合唱しちゃった★
いい空気だったなー


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

あとねえ、あとねえ。
ろいろいおじいちゃんの素敵だなあ、かわいいなあと思ったところはね。
他のメンバーがソロを演ってるとき。

体の前に軽く手を置いて。
腰を少し曲げて。
姿勢は、完全におじいちゃんなんだけどね。

メンバーのプレイを、すごく丁寧に聴いている。
音と真摯に向き合って、聴いている。

それがびっしびし、伝わるの。

で、ソロが終わるとね。
「どうですか?いいでしょう、素敵でしょう?」
って顔をして、こちらを見るの。

他のメンバーがソロを取るたび毎回、この一連の動きをするの。

それが心から素敵でね……
うわー!うわー!うわー!ってなりました。
品の良さがにじみ出てた。

最近つくづく感じるんだけどね。
加山雄三(80)然り。
「ダ・チーチーチ」でおなじみのバーナード・パーディ先生(78)も然り。
高齢なのに、自分よりもだいぶ下の世代とプレイする人って。
そこには、徳の高さも関わっている気がするの。

過去の栄光にあぐらなんかかいてなくて、いまだに好奇心旺盛で。
新しいことにも、どんどんチャレンジするし。
下の世代から教わることについて、とっても謙虚な気がする。
もちろん「俺の時代はー」「最近の若いもんはー」なんて、絶対に言わない。

「この人と一緒に演りたい!」の動機は、そこまで行くと一周して。
「音楽的にすごい」ってことだけじゃなくなってくるのかもね。
「人として素敵だから一緒に演りたい」っていうの。
人類の本能回帰のような気もする。

リスペクトってきっと、音的なことだけじゃないんだ。
すべてひっくるめて、それまでの生き様に対しての尊敬の念なんだ。

そこまで到達して、初めて。
「レジェンド」と呼ばれるのかも。


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

さて、初日の大トリがエリカ様ですよ。

ろいろいをいい場所から観られたので。
しんどかったけど、休憩せずにその場でじっとしてました。

セッティングが、すごかった……。
ドラムセット、パーカッションセット、キーボード、ベース……
ここまではまあ、いいとして。

ドラムパッド。
まだ、打楽器出しちゃう?
エレクトリカルなコンサートチャイム。
まだ、打楽器(※略

ターンテーブル
まあ、最近ちょいちょい見るからこれはいいとしても……
MacのノートPC。
ん?DJブースと別に???

ね、ほら。
何が始まるの?
って、興味津々のセットなんですよ。

楽器のセッティングや調整も、細かかったんだけど。
ライティングの調整もすごかった……。

出初式のはしごぐらいの高さのある、長ーーーいさすまたのようなものを使って、ライトの角度を調整していたんだけどね。
ずっと上見ながらの作業でしょう?
そのスタッフの肉体的負担を考えたら。
見てるこっちの首とか二の腕とか、ぷるぷるしてきちゃいそうな……

とにかくもう、そんな感じだったからね。
エリカ様本人の降臨まで、けっこう長かったんです……。
でもねえ、出てきたらねえ、もうねえ


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

完全に、女神様でした。
完全に、愛の世界でした。

「みんなわたしのベイビーよ」
って仰せになられたしね。
エリカ様の、溢れる愛が詰まった世界で。
わたしたちはみんな、エリカ様の子どもになって。
仲良くしあわせに、暮らしたのでありました。

衣装もかわいかったしなー

エリカ様のヘアスタイルって、特大アフロとか。
アップにして、高々とターバン。
みたいな印象が、わたしは強かったんだけど。

現在のエリカ様はね。
お顔の3倍ぐらいのボリュームのあるロングヘアなんだけど。
それを胸まで垂らして、頭頂の毛を山ほどのピンでボリュームダウン。
その上に、高さ30cmぐらいあるブルーのキャスケットかぶってた。

思ったね。確信したね。
ああ。髪の毛も立派なジュエリーだわ。

で、10本指全部に2本ずつ!ぐらいのいきおいでリングをしてて。
両手首にこれまた10本ぐらい、ブレスレットを重ねづけしてました。

出てきたときは、白いコートだったんだけど。
その中にはね。
赤の民族調柄のロングスカートに、白い長袖プルオーバーブラウス。
それも脱ぐと、ボーダー柄に沿ってカットオフした赤の半袖カットソー。

ね、ほら。
勢いがあれば、迫力があれば。
柄on柄でも、アリでしょう?
やはり、わたしは間違ってはいなかった!!!

一緒に行った友人も、確信したらしいです。
「やばい。こんなの見せたら、またぴのこの私服が大変なことになる!!!」

やだなー。そんなの……

当たり前じゃないですかー

こんなん見せられたら、がっつり影響されて帰るわ。


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

さて、わたしね。
エリカ様に対しては、大きな誤解を2つ、していました。

ひとつはね。
むちゃくちゃ気まぐれな人だと思ってたのね。

全然、ちがった。
音もステージングも、計算されまくってた。
めちゃめちゃ作り込んであった。

わたしは前から5列目ぐらいで、がっつりかぶりつきで観てたんだけどね。
指の先までめちゃめちゃ神経が行き届いているのが、よくわかった。

曲が1曲終わるごとに、エリカ様はスチャッ!と、決めポーズをするんだけどね。
表情にも、目線にも、身体の各パーツにも。
その一つ一つに、いちいち、凄みがあるの。

そういうのも含めて、ね。
1曲1曲で、それからトータルで。
しっかりエリカ様の世界観の表現が完結しているの。

すごかった、すごかった……。

Twitterハッシュタグ追ってたら
「エリカ様のステージだけで3万円払っても安い内容」(※実際には、1日通し券で¥13,500)
ってツイートを見かけたけれど。

それ、諸手を上げて同意しちゃう。


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

そうそう。世界観といえば、ね。
ステージ上の例のセット。
演奏中はどんなことになってかというと

まず、エリカ様コーナーがね。
びびーって伸びる光線で、三角錐に囲まれていて……

って、文字で伝えるのむずかしいなー
こんな感じです。じゃん↓

f:id:pinocorita:20171014133554j:plain

これは……まさしく……

ピラミッド・パワー!!!(※興奮

例の謎Macもね。
実は、VJ(=Visual Jocky。DJの映像版)のための装置だったの。

宇宙の映像とか、自然の映像とか。
アフリカの子どもたちの表情とか、幾何学模様とか。
そういう、エリカ様の世界を構成するものがゆらゆらと。
あるいは、音にリンクしてびしっと動いて。

すべてが、エリカ様の世界を構成しているの。
すべてが、エリカ様の世界の表現につながるの。

コーラス隊に対する指示も、びしーっとしてたしね。
即対応できるメンバーも、プロやわ……。

そんなプロ仕事を見せつける一方で。
エリカ様も、ノッてきたんだろうね。
たのしくなってきたんだろうね。

なんと、わたしたち!
エリカ・ベイビーズは!!!
エリカ様のお腹を見ました!!!!!

しかも、2回も。

歌いながら、舞いながら。
ぴらっぴらっと、衣装を胸までたくし上げてね。
照れ笑いしながら、一瞬で隠しちゃうんだけど。

たしかに、観たんだ……エリカ様のお腹を。


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

わたしの思い違いのもうひとつは、ね。
エリカ様って、あんなに声が出る人だと思っていなかったわたし。

マイク近くでふわふわと発声する、カヒミ・カリィタイプだと思ってたんだけど。
声出る、出る。
がっつり、出る。

声量もそうなんだけどね。
域も、そう。
声域、ハンパない。

たしかにスペーシーで浮遊感のある芸風は、エリカ様の十八番ではあるんだけど。
がっつりソウルフルなのも、グルーヴィーなのも、ファンキーなのも。
エリカ様、実はイケるクチなんです。

完全に、ディーヴァでした。
迫力やばかったー


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

結局、SOUL CAMPにはお昼間からずっといて。
もともと外国人も多いイベントだなーと思いながら観てたんだけど。

エリカ様の時間帯が、特にすごかった。
わたしがいたスペースの周辺に限って言うとね

体感、4割が外国人(主に黒人)でした。
なので、空気自体が、わたしが今まで味わってきたものとは全然ちがった。

たとえばね、日本のライヴってさ。
お客さんは「謹んで拝聴させていただきます」って雰囲気じゃん。
よくも悪くも、お行儀が良い。

アーティストに「声出そう!」って言われてはじめて、声を出す。
「みんなで歌おう!」って言われてはじめて、歌い出す。
みんな空気読むから、一人だけちがうことをすると、すごく浮いてしまうんだよね。
大抵の場合は。

この日は、ちがった。
全然、ちがった。

知ってる曲だったら、みんな歌う、歌う。
サビでみんな一緒に!とかじゃないんだよ?
なんなら、イントロから歌っちゃうよ!
知ってる曲だったら、がんがん歌う。

ステージに向かって、がんがん叫ぶ。
「アイラビュー!」「ビューティホーーー!!!」
めっちゃ叫ぶ。
愛が高まり次第、即、叫んじゃう。
「CD買ったよーーー!!!」
とか、そういうことでも即、叫んじゃう。

日本人のたのしみ方、欧米人のたのしみ方。
どちらにも善し悪しはあるけれど。
ところ変わると、たのしみ方も積極的で能動的になるんだね。

それはそれで、素敵かも。
もっと自分の快に集中しても、いいのかも。