どうも、あなたのぴのこです。
前回、「劇場でお会いしましょう」と盛大に締めたものの、なぜかチケットが取れない/時間が合わない等の不運が続いており。
今回"も"、映画の話はお休みです。えへへー★
さてさて。
先日、こんなところに行ってまいりました。
じゃん!
http://www.rhymester.jp/king-of-stage-vol13/www.rhymester.jp
尚、このお話は、以下の気分のあなたにおすすめと考えられます。
①実は、当該ライヴの関係者である→Yes
②最近HIP HOPに興味を持って、これからいろいろ掘っていきたいなーと思っている→Yes
③ずっとかっこよくいたい、まだまだ攻めていきたいと思っている→Yes
その心は……
(※歌詞はすべてRHYMESTERの作品より引用しています)
- アーティスト: RHYMESTER,宇多丸,Mummy-D,Takaki Horigome,HUNGER
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 2017/09/06
- メディア: CD
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わたし、ライムスのステージは、今年だけで実は3回観てるんですよね。
そのうちの一つがこれなんですけれども。
うんとね。
ここには書いていない、べつのHIP HOPユニットのワンマンを観に行ったときにね。
まあ、たのしかったはたのしかったのだけれども。
正直、ややダレたな……尻すぼみだったな……
と感じたことがあって。
おそらくそれは、彼らの楽曲が少ないせいなんだろうなー。とか
ステージ構成がんばれ!って話なのかなー。とか。
わたしの中では、いっちょ前に分析されているのだけれども。
ライムスに関しては、そういうことはないです。
一度も、ない。
3回観たけれども、毎回どのステージも、フレッシュにたのしかった。
もちろん、キャリアが長いから弾数が多いというのもあると思うんだけれども。
それだけじゃなくてね。
やっぱり、構成もね。
考えられているなー練られているなーと心から思いました。
さすが、King Of Stage !!!
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でもね、3回観ているライムスも。
ワンマンで観るのは、初めてだったのね。
たしかにそういう意味では、どきどきだったんですけれども……
まず、その前に。
東京公演の開催日が酷い日であった。
という話を、させてくださあい。
ひとつ、衆議院選の投票日であった。ということ。(※比喩として、嵐
ひとつ、超大型の台風21号が関東を直撃した日であった。ということ。(※物理的に、嵐
しかも、会場がお台場だしね。
無駄に雨風強そうじゃないですかー
「これは、忘れられない日になりそうだぜ……」
とは、行く前からすでに、覚悟はしちゃうよね。
ひいふうしながら、辿り着けた時点でもう。
妙な興奮状態であったことを告白しなければ。
宇多丸さんも、冒頭のMCで触れてましたけれども。
国から、横槍が入って。
自然にも、邪魔されて。
それでも、ここに集えちゃったんだからもう。
祭りになるしかないよね!ね!
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そんな具合で始まった、東京公演なんですけれども。
今回は、新譜『ダンサブル』を引っ提げてのツアーなのね。
オープニングは、『マイクの細道』でした。
この曲は、アルバムに先駆けてシングルカットされているし。
『SR サイタマノラッパー』っていうドラマの主題歌だったし。
ファンの間でも、すっかりお馴染み度が高くてね。
イントロ流れた時点で、みんな手上げる、体揺らす。。。
……と思いきや、『マイクの細道』は、イントロだけで。
そのあとの4連発がすごかった……。
怒涛です。怒涛。
ごりっごりにFUNKYで、否が応にも盛り上がざるを得ないやつ4連発。
つまり……
みんな酸欠になっちゃうやつ4連発。
終わったあと、すんげー肩で息してたからねみんな。
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昨今のフリースタイルダンジョン・ブームでね。
J-HIP HOPシーンに、何度目かの大波が来て。
日本語ラップいいじゃん!かっこいいじゃん!
って、新しいファンも増えたけど。
このブームも、いつまでも続くようなものではないよね……。
でも、そんなことは、J-HIP HOP界隈の人たちはとっくに感じていて。
それぞれに、次の手を打ってるんだよね。
たとえば、Zeebraであれば、HIP HOP専門のネットラジオを始めるとか。
わざわざMステというお茶の間に、モンスターを引き連れて参戦するとか。
たとえば、R-指定のCreepy-Nutsがメジャーデビューするとか。
たとえば、サ上とロ吉がメジャーデビューするとか。
なので、ブームとしてはやや下火になりつつある今。
シーンとしては、おもしろくなっている時期でもあると思うの。
わりとね。逆にね。
いろんな人が、いろんなことを試しているから。
そんな中で、ライムスは。
HIP HOPの説教師となることを選んだみたいなのね。
宇多丸:でもこれがまた、僕に言わせれば、放っておくと退廃が始まるんですよ。
(中略)
みんなそれぞれやるべきことをやれ、なんだけど、やっぱり説教師は説教師で、説教は必要なんですよ。
ついこないだまで、「バブー」って言ってたヤツがもう、「サイファー(※路上などで輪になりフリースタイルラップをし合うこと)こないだやってきてさー」って感じだから。
(中略)
利発な子はね、今は、調べる術(すべ)があるからいいんだけど。
常に、「なんでこれなのか、毎回考えてやれよ」と。
「当たり前のものだと思うなよ」と。
いろんなことをフレッシュに保つには、そこも大事だと思ってて。
いとう:もちろん、「バック・トゥ・ザ・ルーツ」が、一番新鮮なものを作ることだからね。
宇多丸:革命運動って、常に戻ることじゃない。
いとう:そう、戻る。原理に戻らなきゃ面白くない。
宇多丸:環境が整ってきたっていうことは、同時に、常に原理を考えてなきゃいけないということで。
(※いとうせいこうさん×宇多丸さんのヒップホップ対談ほぼ全文㊥ : popstyleブログ : エンタメ : YOMIURI ONLINE(読売新聞)より引用)
この「放っておくと退廃が始まるんですよ。」という言葉はね。
MCの中でも、字多丸さんが言ってた。
そうはさせるもんか!とい気概も、強く強く感じさせるセットリストだったんだよね。
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それもあって、今回のアルバムはね。
「踊れるアルバム」であると同時に。
「HIP HOPという音楽のみならず、カルチャー自体に敬意を表したアルバム」
でもあるのね。
たとえばね。
さっき1曲目にやったよー!ってお話しした、冒頭曲の『STYLE WARS』もね。
ヘッズにおいては、これ観てないとモグリだろ?ってぐらい。
絶対マストな、HIP HOP映画のタイトルでもある訳です。
「ヒップホップを理解したいと思っている人間は、Style Warsを見なければならない」-- KRS-One
(※TDM SHOP : Style Wars (スタイル・ウォーズ)より引用)
うん……こんな鼻息荒げて紹介しといてなんだけど。
わたしはまだ、観てないんだけどね。
あるいは。
さっき2曲目にやったよー!と紹介した『Future Is Born』もね。
まあ、聴くとすぐわかるけど。
オールドスクール・オマージュである訳ですよ。
詞も、「HIP HOPってこんなふうに生まれたんだよ」ということを歌っている曲で。
RHYMESTER - Future Is Born feat. mabanua
MVの中でもね、観るとすぐわかるけど。
いつになく、ブリンブリンのMummy-Dが出てきたり*1。
3本線のジャージとか。白いスニーカーとか。
ブレイクダンスも。壁のグラフィティも。
知ってる人はみんな、ピンと来る。
知らない人は、じゃあ......バック・トゥ・ザ・ルーツしてみようか?っていう
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なので。
そんなアルバムを引っ提げたツアーなもんだから。
A Tribe Called Questを2枚使いしながら。
『ちょうどいい』をラップしてみたりね。
RHYMESTER 『ちょうどいい Piano session with SWING-O』
この曲自体、もともとチルい曲ではあるんだけど。
ATCQのビートに乗せると……あら不思議。
いつもより、アダルチィじゃない?
これもまた、素敵じゃない?
あるいは。
いとうせいこうの『噂だけの世紀末』をカバーを聴かせてくれて。
英語の「scream!」を「騒げ!」と訳したのは、実はせいこうさんなんだよ。
って教えてくれたりね。
そういうフックが、ステージの中にたくさんたくさんあって。
「君たちを今こんなに気持ちよくさせてくれているHIP HOPは、そもそもこんなカルチャーなんだよ。いろんな先人たちの足跡の上にあるものなんだよ。」
ということをね。
丁寧にわかりやすく、説いて回ってくれている感じ。
でも全然、説教臭くないの。
エンターテイメントとしても、たのしいの。
なんというか、そうだなあ……
大人の責任感みたいなものも感じた。
この業界に長らくいる、ベテランとしての責任感。
これも一つの愛の形なんだね。
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ゲスト的にはね。
このアルバムのプロデューサーでもあるmabanua*2が、キーボードに、ドラムに……と何度も出てきたり。
KIRINJIの堀込高樹は、自作の曲で何度も出てきたり。
今回のアルバムのbopナンバーである『Don't Worry Be Happy』を
Sound Cream Steppersのダンス込みで見せてくれたり。
ラッパーとしては、サ上とHUNGERが2回も出てきたり。
特に、HUNGER!やばかったわー噂に聞いてたけども......生で観ても滑舌がおばけ!!!
GAGLEのライヴも、俄然観たくなっちゃった。
あとは、この日が衆院選だったというのもあって。
Mummy-Dの「はい。怒りまーす」を合図に、『ガラパゴス』が始まったり。
『The Choice Is Yours』での、観客の感情移入もハンパなかったり。
RHYMESTER 『The Choice Is Yours』
オープニングで、イントロしか流れなかった『マイクの細道』が最後の最後に戻ってきたり。
休憩を挟んで、2時間半みっちりでした。
濃かった......濃かったよ......
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いや、でもさ......言うても。
アラフィフだよ?お三方とも。
それでいて、新作がダサくない。
ってこれ、なかなかのことだと思うのよ。
いまだにみっちり、HIP HOPやってる。
いまだにがっつり、攻めてる。
いまだ日々流転する20年選手 どころかまもなく30年選手
ほぼこのペースでいつしか米寿 迎えても一軍でフツーにプレイ中
みたいな予定 アンタより長寿 気にいらなそうなアンチなどしょっちゅう
(※『爆発的 feat. サイプレス上野 & HUNGER』より)
あの日のオレたちみたいに
キミの未来は馬鹿みたいにシャイニー
ただしオマエらのRootsは
あくまでもオレだとは言っ・て・お・き・たい・ぜ!
(※『Future Is Born』より)
声と声とが FlowとFlowとが 交差する刹那のダイナミクス
その瞬間 僕らは溶けて混ざって ビターでスウィートなジャムになる
賞味期限はたった3分間 生でどうぞ 必ずファンになる
オレらレアでロウでライブでソー・フレッシュなベテラン
MC's in your town
常にOldで Newで New to the oldな Style求めて試行錯誤さ
(※『Back&Forth』より)
こういうリリックなんてさ。
ライムスでないと、書けないよね。
なんだよ......
大人のボースティング、かっこいい!
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しつこいようだけど、もう一度言うね。
お三方とももう、アラフィフなんだよ。
なのに
ベロだって身体だって、なんであんなによく動くの???
リズムにビートに、あんなにびしーっと乗って。
マイク2本の掛け合いも、なんであんなに息ぴったりなの???
RHYMESTER - Back & Forth (Live)
ただの仲良しじゃないよこれ!
喉から血出るぐらい、練習してるよ!!!
わたしがライムスのライヴを観るのが好きなのは、ね。
行くと必ず、がっつり元気になって帰ってこれるからなのね。
すごく元気で、すごくかっこいい。
そういう年上の人もまだまだいるのだ。
そうことを、彼らが身を以て証明してくれるからなんだけど
うん。
わたしもまだまだ、元気でいなくちゃ。
まだまだ、かっこよくいなくっちゃ。