どうも、あなたのぴのこです。
今回は、このお話。
尚、このお話は、以下の気分のあなたにおすすめと考えられます。
①「ラストであなたは衝撃の真実を… !!! 」とか聞き飽きたわと思っている→Yes
②どちらかといえば不細工村の住民なので、何で勝負したらよいのかわからない→Yes
③彼とは浮気じゃない。だって別れてくれるって言ってるもん...と思っている→Yes
その心は…
(※劇中の台詞については、耳コピであるため、正確ではない可能性が含まれます。ご了承ください)
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はい。今さら初見です。
公開されてからもうだいぶ経つし、年もまたいじゃったし。
どうしよっかなー ? 見送ろうかなー ?
って実は、悩んでたんですけれどもね。
見送らないでよかった … !!!
心から、観てよかったです。
むしろ、今年の初映画をこれでスタート切れて。
2018年幸先いいんじゃないのー ?
って、思ったぐらい。
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これね。
「共感度ゼロ」とか「登場人物、全員最低」とか。
やたら狙ったようなコピーを見かけたんですけれども。
そんなことしなくたって、普通に名作でした。
少なくとも、わたしにとっては。
コピーとか、予告編とか、ポスターとか。
そうやって煽ってかないと今日び、劇場に人が入らないのかな…
と、悲しく思ったので。
わたしは2回、劇場に行きました。
ささやかすぎる、意思表示。
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でも、たしかに。
「わかるー!」っていう共感はないかも。
十和子とは、お友達になりたくないし。
そもそもわたしは、水島とか黒崎のような男には近づかないし。
かと言って、陣治みたいに愚痴っぽくて不潔なのもなー…
ただ、キャラ設定がぶっ飛んでるとか。
役作りが現実離れしちゃってるとか。
そういう意味での「共感度ゼロ」では、全然なくて。
むしろ、こういう人いるいる!って思って観てたよ。
特に、十和子!
こういう子、いるいる!
恋愛で学習しない子。
手痛い失敗をしてきているのに、また同じような男に引っかかって。
同じように泣かされちゃう子。
ゆえに、恋愛経験を経るごとに幸の薄さだけがどんどんパワーアップしていく子。
だからね。
冒頭のクレーマー行動とか。
女友達がひとりも出てこないところとか。
「嫌な女:北原十和子」っていうキャラの肉づけのために。
必要だったのかなー ? って思ったんだけど。
ああいう逃げ場のない詰め方をするクレーマー、実際にいますいます。
毎日闘ってるから、悪いけどわたし詳しいよ ?
全然、やりすぎてない。
さすが、蒼井優。
全篇関西弁の台詞も、なんら問題なく流暢だし。
急にキスされたあとの、あのぽや~んとした子どもみたいな表情とか。
作業着洗ってる陣治を見てるときの、あの寝起きみたいな表情とか。
嫌な女…とはいえ、なんか気になる。魅力がある。
見ているうちに、かわいらしさがちゃんと伝わるようなキャラに仕上がってるんだよね。
十和子が。
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逆に、いちばん共感できなかったのが、わたしの場合は水島で。
最初のキスシーンとか、思わず「え ? 」って声出ちゃった。劇場で
「え ? 」というか、「はぁ ? 」というか。
えー。だってさ、だってさ…
クレーマーですよ ?
そういう関係になったら、もっともめんどい相手じゃないですか。
別れるときこじれるの、目に見えてるじゃないですか。
どーう考えても、地雷じゃん…。
不倫相手と、職場の下にあるオープンカフェで待ち合わせるとか迂闊すぎない ?
仕事仲間やお得意様から一部始終、ぜーんぶ見えちゃうけど ? ? ?
うむぅ…理解に苦しむ。
でもなー、そういえば。
「こちらに"なります"」って言ってたしね。
「北原十和子様のお電話で"よろしかった"でしょうか」って言ってたしね。
百貨店の時計売場で主任までやってて、あんな敬語しか使えないんだから。
所詮、その程度なのかもしれない。
「来週の今日また来ます
それまでに考えておいてください」
「考えるって何を?」
「僕にもわかりません」
少しは頭使えー ! ちんこだけじゃなくてーーー !!!
でもね、そんなにも共感度ゼロでもね。
これにもまた、フックが隠されていて…
「あー」と言ってみて
もっと大きな声で
このシーンが強烈なの。
そりゃ言うわ、言っちゃうわ、「あー」て。
それまで感じてた違和感も、ここで全部吹っ飛ばされちゃったよ。
先のことは一切考えられない、脳みそがちんこ以下の男もいるのかもしれない。
わたしの知らない世界では、こういう性欲モンスターもいるのかもしれない。
うん、こういう人いるかも。
いや、いそう。
たぶん、いる。
きっと、いる。(※確信
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さて、水島にしろ、黒崎にしろ。
なんで浮気男はどいつもこいつもこうなんだ?っていうのがね。
①いい声と、うつくしい手を持っていがち
黒崎の折り電のシーンなんてね。
あーこれしゃーないかも…ってなりました。
イケメンには全力で警戒度maxのわたしですら。
途中から、なんとなく。
いけないものを見ている気になるよ、松坂桃李のあの指。
いけないものを聞かされているような気になるよ、竹野内豊のあの声。
特に声フェチでも手フェチでもないわたしですら、こうですよ ?
フェチ度合で、個人差はあるにしろ。
恵まれた声帯と指先は、官能と直結しがちだと思う。
そんな気がする。
②すぐ運命とか言いがち、出会いに意味を持たせがち
十和子と出会えたことで
運命からGOサインをもらえた気がする
何もかも、まっさらなところからやり直したい
そう思えたのは、あなたと出会えたかもしれない
あるある…
なんでだろう?
浮気男って、やたらロマンチストが多いイメージあるけど。
歯の浮くような甘言も、しれっと吐くよね。
はずかしげもなく。
③「孤独」という言葉で、正当化しがち
「なんで乗せてくれたの ? 」
「孤独が一人で歩いてる…って感じだったから」
あなたも孤独だろ ?
似てるんだよ、僕たち
一目見たときから僕にはわかったんだ
あなたの孤独が
あるある、あるある…
じゃあ、孤独じゃない人間なんていんのかよ ?
って思うよね。
けど、そんなことは問題じゃないの。
僕とあなたの問題に集中して … !!! っていう
ああ、そっかー
外野のことは、端から眼中にないのか。
そっかそっかー
④妻や彼女、他の男をdisることによって、自分のクズっぷりを薄めようとしがち
そういうのをきれいな箱に入れて
プレゼントするような男は軽薄だろ
陣治か…なんか、物盗みそうな名前だな
あるある、あるある … !!!
でも、相手を下げても、自分は上がらないよ ?
早く、気づけ。
⑤できない約束をして、罪悪感から目をそむけがち
一生大切にするよ
約束する
しかも、この台詞を吐いた黒崎は、全篇通して標準語なのにね。
この「一生」だけなぜか、関西弁のイントネーションなの。
そこがずーっと、引っかかってたんだけど。
あそこ、結局は嘘をついている訳だから。
クズとはいえ、彼にとっては気が引けるような頼みごとをするシーンだから。
黒崎の空回りした感情が、うわずった感情が。
「一生」だけ関西弁という、変な方向で噴出しちゃったのかな
って結論に落ち着いたよ。わたしの中では
すごい … 演出、細かい … !!!
とにかくもう、この①~⑤のね。
いるいる ! あるある ! っていうわかりみがすごくて、もはや
「登場人物、全員最低」だの「共感度ゼロ」だのいう状況が、どーうでもいいことになっちゃってるのね。
おそろしい脚本だよこれ…
尚、おそろしい脚本だってことは、終盤でもう一度驚くことになる訳でして
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えっとね、十和子って。
陣治のこと、邪険に扱いすぎじゃないですか。
不潔、下品、下劣、貧相、卑劣
あと仕事の愚痴ばっかり言うし、頭おかしなるわ
なんで陣治と一緒にいるのか、ほんまわからん
男なんやったらどっか1つぐらい
男らしいところ見せてみいや
こんなこと言われ続けて、陣治もね。
よう、えっへらえっへらしてられるなーって思ってね…
そこがまた、十和子の目には男らしくなく映って。
さらに、神経を逆撫でしたのかもしれないんだけど。
でもね、それなのにね
僕、知っとるんです
十和子を幸せにできるの僕だけや、って
僕、十和子のためなら何でもできるって
けっこうこの台詞、何度も出てくるの。
そのたびに陣治は、自信を持って発言してるの。
(※そのたびに十和子は、イラッとしてるけど
なにゆえ、どうして ?
どこから来るのこの自信 ?
どこにそんな勝算があるの ???
って思ってたんだけどね。
終盤で、「あっ…」って声が出ました。
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これね。
「俺は十和子のことが心配やから ! 」って台詞がね。
何回も何回も何回も何回も、出てくるでしょう。
実際、十和子からも「何回も聞いたわそれ」って言われてる。
わたしは残念ながら、殿方からこんなふうに愛されたことがないので。
おとんの例を出しますけどね。
心配されすぎるのって、あれけっこうイライラするんだよね。
束縛されて、こちらの自由が侵されるような気になるから。
そんなに管理されなければいけないほど、自分がダメな人間に思えてくるから。
だって、そうそう事件や事故に巻き込まれることもないでしょう。
そんなにそんなに心配されるようなことは、現実化しないでしょう。
99.9%は、杞憂で終わる話でしょう。
その辺で野垂れ死んだりしないし。
お腹がすいたら、食べるし。
帰りたくなったら、家に帰る。
そんなに一挙手一投足管理されてなくても、ひとりでできる。
子どもじゃないんだから。
だから正直、うざいの。
心配するのは勝手だけど、それをいちいち言ってくんなよ。
って思ってたんだけど、ああ。これは…
陣治の「心配」のタネは…
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そんなオチまでわかった上で、最初から観てみても。
細かすぎる阿部サダヲが、のっけからこちらの涙腺をこわしにかかってくるんです。
わりと、本気で。
「陣治はええん ? 」
「俺か ? 俺は自分でする
心配せんと寝えや」
「俺はマッサージだけは十和子にほめられるな」
「なんでかわかる?
陣治の顔が見えへんからや」
「それでもええわ
俺は十和子が笑てくれたら十分や」
そういう意味でも。
二度でも三度おいしい映画と言えるのでは。
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十和子にとっての孤独というのは、きっとね。
寝物語でするようなものじゃなくて
十和子、目覚ませよ
お前は俺にごっつい借りができているんやで、わかるか
一生かかってチョビチョビ返すしかない借りやぞ
ほんとの孤独はきっと、誰にも話せないようなことなんだ。
背負っちゃったね、十和子。
でも生きなね、十和子。