うちのシナプスだって、本気出せば手をつなげる。

ごはんとお酒以外も上手に思い出せるよ!ということを証明する実験。尚、嫌いな作品をdisるほどのカロリーは残ってません。

『スイス・アーミー・マン(2016)』に関する記憶 - おならー!うんこー!!!とゲラゲラ笑っていたら、うっかり愛と人生について学んでしまったお話

どうも、あなたのぴのこです。
そんな訳で今回は、『スイス・アーミー・マン』。

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尚、この作品は、以下の気分のあなたにおすすめと考えられます。

①サヴァイヴァル生活に、若干の憧れを抱いている→Yes
②おなら、うんこ、ゲロなど、小学生レベルの下ネタには包容力がある方だ→Yes
③愛について、人生について、シンプルな言葉で説明できない→Yes

その心は...

(※劇中の台詞については、いささか心許ない記憶に頼ったものであるため、正確ではない可能性が含まれます。長台詞が多かったので、今回は特に自信がないです...。ご了承ください)


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まず、最初にお断りしておきたいんですけどね。
良識ある、お上品な大人の方には【閲覧注意】かもしれないですこれ。

わたしは、角川シネマ新宿で1回、渋谷アップリンクで1回、観たんですよね。
新宿で観たときは、おならだって、うんこだって。
観客側もどっかんどっかん湧いてたんですけれども。
アップリンクでは、あんまり笑いが起きていなかった。

これが、階級の違いか... !!! って思いました。

でも、最終的にはね

どちらのお客さんも、おならで泣いてた。
めっちゃ、洟すすってた。おならで。


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かく言うわかしも、ね。
予告では、メーニーが死体役?身障者役?に見えたので。
最初、これ観たときにね。


映画『スイス・アーミー・マン』予告編

え。これ...人体の扱い、雑すぎじゃない?
大丈夫?
然るべき団体から、クレームつけられたりしない?
大丈夫???

って思いました。
大丈夫です!

愛が僕を生き返らせてくれる
マルチな道具の僕を

ハンクとメーニー、ふたりは親友で。
メーニー自身も、自分が便利な道具であることを認識していて。
しかも、それだけでなく

髪の毛が逆立ち、キミを救えると思う

「マルチな道具」である自分のことを、すごく誇っているの。
だから

クレームも来ない!大丈夫!!!


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ええと、この話はね。
船が遭難して、無人島に漂着しちゃった孤独なハンクのところにね。
死体のメーニーが流れ着いてきて。
二人で力を合わせて、故郷に帰ろう!とする一大スペクタクルな訳ですよ。

メーニーは流れ着いた時点で、名前以外の記憶をほとんど失っているのでね。
ハンクがメーニーに、さまざまなことを教えてあげるの。

その代わりに、メーニーはスイス・アーミー・ナイフの如く。
マルチな道具としての才能を発揮するの。
どちらの力が欠けても、脱出・帰還は不可能なのね。

ハンクがメーニーに教えてあげることは、多岐に渡るんだけど。
たとえば...

人生とは、何か。
故郷とは、何か。
家族とは、何か。

トラウマとは、何か。
性欲とは、何か。
女の子とは、何か。
愛とは、何か。

「ハンク、僕のおっぱいの様子が変だ
 暴れてる
 こんなの、はしたないよ」
「みんなに起こることだ」
「女の子って、素晴らしいんだろうな」

友達とは、何か。
一緒にお酒を飲むと、どんな気持ちになるのか。
一緒にダンスすると、どんな気持ちになるのか。
一緒に大声で歌うと、どんな気持ちになるのか。
しあわせだと、人はどんな顔をするのか。

それから...

どんな気持ちになると、涙が流れるのか。
死とは、何か。


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それを、子どもでもわかるような言葉で教えないといけないでしょう。
となると...うん。

おならは、うんこは、絶対に必須だよね。

たとえば...そうだなー?

「生まれ変わっても、また君と出会いたい」
そんな内容を伝えたいときでもね。
ハンク→メーニー語訳だと

みんなの排泄物と混ざるのは、歓迎だ
君の排泄物とも出会えるだろう
それが楽しみだ

こうなるの。

有機物に分解される自然の摂理を。
なんだったら、輪廻転生にまで渡って。
全部、うんこで説明できるの、すごくない!?

全然、ロマンチックじゃない!
最高!!!


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このように。
さまざまなことを、メーニーに教えてあげるハンクなんだけどね。
ハンクもまた、実はね

人から笑われないように。
変人だと思われないように。

そればかり、気にしてきた人なのね。

故郷にいるときは、父に怯え。
好きになった女の子には、話しかけられず。

そんな人だったみたいなの。

みんなが僕たちを笑い
みんなが僕たちを気味悪がる
 
この世の楽しみをぜひ、教えたかった
僕が苦手な恋愛も、経験させたかった

そんな親子のような、教師と生徒のような関係から。
ともにたのしんだり、励まし合ったりする関係に育つの。

「人に笑われるのは、変人だよ」
「人を笑わすのは、大切だ
 僕もそうすれば
 君は変人でなくなる」

記憶喪失で生まれたての子ども状態だったメーニーに、ハンクは必要だった。
でもね。
ハンクにとってもまた、メーニーはかけがえのない存在に育っていくの。

みんな、少しは醜い
みんなで歌って踊り、おならをする
(そうしたら)淋しくなくなるぜ

誰かを大切に想う。ということもね。
案外、むずかしくもなんでもなくて。
シンプルで、平易な言葉で表現できることなのかも。


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音楽もいいんだ、これ。
特に、二人で何度となく歌ってる『コットン・アイ・ジョー』なんかね。
うん、なんというかもう

情けない曲なんだよね。

劇中で、歌詞がちゃんと出てくるけど。
これもう、ハンクの自己紹介でしかない。
でも、すっごくいい曲なんだ。

その後に出てくる、pop!pop!pop!と繰り返す3拍子の曲もよくて。
「絶対、故郷へ帰るぞ!えいえいおー!」感が、めちゃめちゃよく出てるんだ。
すっごく希望が湧いてくる、ワークソングなの。

冒頭も、いいんだよなー
ハンクが置かれている、奇異で絶望的な状況をね。
海に漂うゴミが説明してくれるの。

正直、話せば長くなる話なんだよ。
台詞を使ったら、絶対にくどい。
おわーなんてうまい、なんてスマートな状況説明なんだ!!!と唸りました。

タイトルバックも、絶妙なんだよね。
開放感も爽快感も、いちばんピークの。
ここしかない!という最高の一瞬にばばーん!!!と入るの。
気持ちよかったー


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演者はもう、二人ともがとっても素敵なんだけど。
特に、ダニエル・ラドクリフってさ。
子どもの頃は、あんなにかわいかったのに...
みたいな扱いだったじゃないですか。

このメーニー、すごいよ!
死体にしか、見えないよ!!!

そっか。
身体が弛緩すると。
舌の動きが、そうなるのか。
そこから力が抜けてがくん、と来るのか。

って

骨格のことも、筋肉のことも、身体のことも。
すごくすごく、勉強してあるんだろうね。
感動しました。
役者って、すごい仕事なんだね。


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ところで、現実的な話をすると。

メーニーって結局、何だったんだろうね。

いや。死体は死体なんだろうけどさ。
じゃあ...

メーニーの、あのときのあの表情は?
あの言葉は?
あの動きは???

えっとね。
わたしの見解はね...