どうも、あなたのぴのこです。
そんな訳で今回は、『スイス・アーミー・マン』。
尚、この作品は、以下の気分のあなたにおすすめと考えられます。
①サヴァイヴァル生活に、若干の憧れを抱いている→Yes
②おなら、うんこ、ゲロなど、小学生レベルの下ネタには包容力がある方だ→Yes
③愛について、人生について、シンプルな言葉で説明できない→Yes
その心は...
(※劇中の台詞については、いささか心許ない記憶に頼ったものであるため、正確ではない可能性が含まれます。長台詞が多かったので、今回は特に自信がないです...。ご了承ください)
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まず、最初にお断りしておきたいんですけどね。
良識ある、お上品な大人の方には【閲覧注意】かもしれないですこれ。
わたしは、角川シネマ新宿で1回、渋谷アップリンクで1回、観たんですよね。
新宿で観たときは、おならだって、うんこだって。
観客側もどっかんどっかん湧いてたんですけれども。
アップリンクでは、あんまり笑いが起きていなかった。
これが、階級の違いか... !!! って思いました。
でも、最終的にはね
おならでこんなに泣かされると思わなかった。やられた。#スイスアーミーマン
— ぴのこ a.k.a アスパラまみれ (@pinocorita) 2017年11月9日
どちらのお客さんも、おならで泣いてた。
めっちゃ、洟すすってた。おならで。
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かく言うわかしも、ね。
予告では、メーニーが死体役?身障者役?に見えたので。
最初、これ観たときにね。
え。これ...人体の扱い、雑すぎじゃない?
大丈夫?
然るべき団体から、クレームつけられたりしない?
大丈夫???
って思いました。
大丈夫です!
愛が僕を生き返らせてくれる
マルチな道具の僕を
ハンクとメーニー、ふたりは親友で。
メーニー自身も、自分が便利な道具であることを認識していて。
しかも、それだけでなく
髪の毛が逆立ち、キミを救えると思う
「マルチな道具」である自分のことを、すごく誇っているの。
だから
クレームも来ない!大丈夫!!!
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ええと、この話はね。
船が遭難して、無人島に漂着しちゃった孤独なハンクのところにね。
死体のメーニーが流れ着いてきて。
二人で力を合わせて、故郷に帰ろう!とする一大スペクタクルな訳ですよ。
メーニーは流れ着いた時点で、名前以外の記憶をほとんど失っているのでね。
ハンクがメーニーに、さまざまなことを教えてあげるの。
その代わりに、メーニーはスイス・アーミー・ナイフの如く。
マルチな道具としての才能を発揮するの。
どちらの力が欠けても、脱出・帰還は不可能なのね。
ハンクがメーニーに教えてあげることは、多岐に渡るんだけど。
たとえば...
人生とは、何か。
故郷とは、何か。
家族とは、何か。
トラウマとは、何か。
性欲とは、何か。
女の子とは、何か。
愛とは、何か。
「ハンク、僕のおっぱいの様子が変だ
暴れてる
こんなの、はしたないよ」
「みんなに起こることだ」
「女の子って、素晴らしいんだろうな」
友達とは、何か。
一緒にお酒を飲むと、どんな気持ちになるのか。
一緒にダンスすると、どんな気持ちになるのか。
一緒に大声で歌うと、どんな気持ちになるのか。
しあわせだと、人はどんな顔をするのか。
それから...
どんな気持ちになると、涙が流れるのか。
死とは、何か。
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それを、子どもでもわかるような言葉で教えないといけないでしょう。
となると...うん。
おならは、うんこは、絶対に必須だよね。
たとえば...そうだなー?
「生まれ変わっても、また君と出会いたい」
そんな内容を伝えたいときでもね。
ハンク→メーニー語訳だと
みんなの排泄物と混ざるのは、歓迎だ
君の排泄物とも出会えるだろう
それが楽しみだ
こうなるの。
有機物に分解される自然の摂理を。
なんだったら、輪廻転生にまで渡って。
全部、うんこで説明できるの、すごくない!?
全然、ロマンチックじゃない!
最高!!!
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このように。
さまざまなことを、メーニーに教えてあげるハンクなんだけどね。
ハンクもまた、実はね
人から笑われないように。
変人だと思われないように。
そればかり、気にしてきた人なのね。
故郷にいるときは、父に怯え。
好きになった女の子には、話しかけられず。
そんな人だったみたいなの。
みんなが僕たちを笑い
みんなが僕たちを気味悪がる
この世の楽しみをぜひ、教えたかった
僕が苦手な恋愛も、経験させたかった
そんな親子のような、教師と生徒のような関係から。
ともにたのしんだり、励まし合ったりする関係に育つの。
「人に笑われるのは、変人だよ」
「人を笑わすのは、大切だ
僕もそうすれば
君は変人でなくなる」
記憶喪失で生まれたての子ども状態だったメーニーに、ハンクは必要だった。
でもね。
ハンクにとってもまた、メーニーはかけがえのない存在に育っていくの。
みんな、少しは醜い
みんなで歌って踊り、おならをする
(そうしたら)淋しくなくなるぜ
誰かを大切に想う。ということもね。
案外、むずかしくもなんでもなくて。
シンプルで、平易な言葉で表現できることなのかも。
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音楽もいいんだ、これ。
特に、二人で何度となく歌ってる『コットン・アイ・ジョー』なんかね。
うん、なんというかもう
情けない曲なんだよね。
劇中で、歌詞がちゃんと出てくるけど。
これもう、ハンクの自己紹介でしかない。
でも、すっごくいい曲なんだ。
その後に出てくる、pop!pop!pop!と繰り返す3拍子の曲もよくて。
「絶対、故郷へ帰るぞ!えいえいおー!」感が、めちゃめちゃよく出てるんだ。
すっごく希望が湧いてくる、ワークソングなの。
冒頭も、いいんだよなー
ハンクが置かれている、奇異で絶望的な状況をね。
海に漂うゴミが説明してくれるの。
正直、話せば長くなる話なんだよ。
台詞を使ったら、絶対にくどい。
おわーなんてうまい、なんてスマートな状況説明なんだ!!!と唸りました。
タイトルバックも、絶妙なんだよね。
開放感も爽快感も、いちばんピークの。
ここしかない!という最高の一瞬にばばーん!!!と入るの。
気持ちよかったー
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演者はもう、二人ともがとっても素敵なんだけど。
特に、ダニエル・ラドクリフってさ。
子どもの頃は、あんなにかわいかったのに...
みたいな扱いだったじゃないですか。
このメーニー、すごいよ!
死体にしか、見えないよ!!!
そっか。
身体が弛緩すると。
舌の動きが、そうなるのか。
そこから力が抜けてがくん、と来るのか。
って
骨格のことも、筋肉のことも、身体のことも。
すごくすごく、勉強してあるんだろうね。
感動しました。
役者って、すごい仕事なんだね。
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ところで、現実的な話をすると。
メーニーって結局、何だったんだろうね。
いや。死体は死体なんだろうけどさ。
じゃあ...
メーニーの、あのときのあの表情は?
あの言葉は?
あの動きは???
えっとね。
わたしの見解はね...