どうも、あなたのぴのこです。
そんな訳で今回は、『ブレードランナー2049』です。
尚、この作品は、以下の気分のあなたにおすすめと考えられます。
①前作も観たし、内容もよく記憶している→Yes
②前作も観たし、内容もよく記憶しているけれども、正直なところ、よくわからなかった→Yes
③早く人間になりたい→Yes
その心は…
(※劇中の台詞については、いささか心許ない記憶に頼ったものであるため、正確ではない可能性が含まれます。ご了承ください)
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まず、最初にお断りしておくけどね。
復習必須です。これ
予想以上に、前作の続編です。これ
もっと言うと。
予告編はこんな感じなんだけどね。
この他に、3人の監督が手掛けた予告編があるんです。
可能であれば、出かける前に。
3つとも、観ておいた方が吉かと。
渡辺信一郎監督「ブレードランナー ブラックアウト 2022」予告
新「ブレードランナー」の前日譚『2036:ネクサス・ドーン』本編映像
バウティスタがレプリカントに!短編『2048:ノーウェア・トゥ・ラン』本編映像
予告というか…もはやこれは、ショートショートだね。
よくできてるなー。ほれぼれ
本編のあとに観ると、また違った意味でニヤニヤしちゃう。
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さて。これね。
「わたしはサイバーパンカーなので、
2049観たいなーって思ってるんだけど。
前作を観ないで行っても、大丈夫だよね?」
と、うっかり発言していたら。
周囲から、もんのすごい勢いで止められました。
あと、「サイバーパンカー」ってなんだよ?とも。
わたしね。
『フィフス・エレメンツ』も『ティコ・ムーン』も、好きなんです。
B.D.も好き。
これも、好き。
なので、頭でっかちにも。
「この世界観を、サイバーパンクと呼ぶのだ。」
ということだけは、知ってたの。
けどね。
なんでいつも、天気が悪いのか。
なんでどいつもこいつも、広告がデカいのか。
なんでどれもこれも、アジアンな謎下町があるのか。
だのになぜ、コンピュータに人間臭さを残してあるのか。
これらがどこから来ているのか?
ということについては、知らなかったのね。
ごめんなさい、ごめんなさい!
全部全部、ブレランからだったのね…。
結果、先月と今月のうちに。
前作を2回観てから、いざ、2049!となったんだけど。
デッカードって、誰?
レイチェルって、何者?
などと言おうもんなら、劇場で塩撒かれるところでした。
あぶなかったー
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ただ、前作を観たときにね。
ちょっと、謎が多いのが気になって。
ほら、ブレランってさ。
「前作観た」って言うと、どのver.?って訊かれるじゃん。
わたしが観たのは、ディレクターズカット版なんだけどね。
ラストのユニコーンの折り紙で、デッカードが何を察したのか。
レイチェルだけが、なぜ生き残ったのか。
という部分が、2回観てもいまいちよくわからなかったのね。
夢の内容が外に漏れてるってことは、デッカードもレプリ…?
ぐらいまでは、まあなんとか辿り着けたんだけど。
でも、それだけでいいのかな?
合ってるのかな?
他にももっと、深い意味が隠されているのでは???
って、不安だったんだよね。
しかもこれ、観終わったあとにさ。
「…で、結局なんだったの?」
などと発言しようもんなら、全力で怒られが発生するやつでしょうそうでしょう。
だからね。
うわーこれ大丈夫かなー?
わたしのこの、悩ましいお脳の中身で追いつけるやつかなー?
って、かなり不安でした。
エンドロールが終わるまで。
うん。結論から言うとね。
大丈夫です!
前作よりも、かなりわかりやすい。
わたしの気がかりなお脳でも、大方説明できるぐらいだもの。
これからの人は、安心して来て来て。
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これ、前作でさ。
レイチェルしか知りえない幼少時代の記憶を、デッカードがぺらぺら喋って。
「それ、タイレルの姪の記憶の移植やで~」
って、ネタバレするシーンがあったでしょう。
レイチェルが目にいっぱい涙をためる、あのシーン。
あそこね。
デッカードまじ鬼畜!
美人になんて顔させるんだ!腹斬って詫びろ!!!
って、わたしなんか鼻息ふんっふんだったのですけれども。
2049は、わりとね。
この「切なさ」の部分にフォーカスしたようなお話のような気がします。
前作のレプリはさ。
「4年しか生きられないなんてやだ!もっと長生きさせろ!!!」
って、実力行使に出たじゃん。
で、そこから20年以上経過して。
レプリの寿命が飛躍的に伸びたらどうなるか。
人間に、なりたくなるんだよね…。
製造じゃなくて、繁殖で。
わたしたちも、母から生まれることができるんだ。
この部分に、一縷の望みをみんな持つの。
誰も彼もが、切ない。
誰も彼もが、人間になりたくて。
誰も彼もが、切ない。
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で、「早く人間になりたい」の理由がね。
人…じゃないや、レプリによって。
みんな、違うんだよね。
たとえば、みんな大好きジョイちゃんなんかはね。
彼女は、自分に"肉体"が欲しくてたまらない。
「何かあれば、君は消える」
「そうよ。本物の女のように」
でもまあ、ジョイちゃんについてはね。
他でも力いっぱい語られてそうなので。
わたしは、なぜラヴが好きなのか?って話を書きまーす
ラヴはね。
あの、エミュレータぐしゃ!のシーンなんかもね。
くっそラヴおのれええええ!!!
って、みんななったと思うんですけれども。
名前があるのか
特別な存在だな
ラヴはね。
「わたしは他とはちがうのよ(フフン」
って高飛車なだけのキャラではないんだ。
ただただ、踵落としとハイキックが鬼強いだけの女でもない。
彼女もまた、切ないんだよ…。
ラヴは実は、呪いをかけられているの。
君は最上の天使だ
そうだろ?ラヴ
ただただ、このひとことに囚われている人なんだよね。
ラヴって
「最上の天使」…強い言葉じゃないですか。
創造主からこんなこと言われたら…
全身全霊を賭けられるよね。
たったそのひとことが、いつも心の真ん中にあって。
命がけで忠誠を捧げた女でもあるんだよ。
ラヴって
うっわ切ないいいい…
そういう目で、あの退場シーンとか見返してみてよ。
すっごくすっごく、きれいだよ。ラヴ
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あと、前作と較べると…そうだなー
前作はもっと、台詞がロマンチックだったよね。
たとえば、ロイ・バッティが機能停止するとかもね。
詩のような、哲学のような、台詞を吐くじゃない。
ああいう点は、前作の方が上かも。
ただ…
映像のうつくしさは、文句ないかなー
少なくとも、わたしは。
きれいになりすぎてて。
嘘くさく(100%嘘なので、こういう言い方もおかしいけど)なってたら、どうしよう…
って、思ってたんだけど。
心配なかった。
冒頭がだいぶ白くて、ややびっくりしたけど。
心配なかった。
まあ、製作で言ったら。
前作から35年経ってるからね…
建物にしろ、街にしろ。
お洋服や家具の素材感なんかもね。
やや未来的な表現になっているとは思う。
わたしが特にうつくしいなーと感動したのは
ウォレス社の壁と
ウォレスの目代わり?の謎飛行物体と
基本検査のためのパスワードと
大停電前のデータの形状と
荒野の巨像と
ラスベガスの廃カジノ。
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特に、あのカジノね。
わたしが知ってる廃墟と、全然ちがった。
従来の廃墟ってさ。
もっと、暗かったり、寂れていたり。
荒んでいたり、おどろおどろしかったり。
怪しい人や生き物が住んでいたり。
犯罪の巣窟だったり。
わたしがイメージする廃墟って、そんな感じだった。
パッと見ね。
あのカジノって、そこまで荒れてないんだよね。
わりときれいなままで、客の荷物があったり。
お酒も、100万本あるとか最高じゃん!天国じゃん!
って、わたしなんかうっかり思っちゃったんだけど。
いやいや、ちがう。そうじゃない。
たぶん、あのホテルさ。
「あんまり荒れてない」んじゃなくて。
荒れているようにみえないための、あのオレンジなんじゃないかな。
「あんた、もしかしてチーズ一切れでも持ってないか」
「宝島か」
ゴージャスなナイトクラブには、
VRのエルヴィス・プレスリーがいて。
マリリン・モンローがいて。
重厚なバーには、フランク・シナトラがいて…
でも、大体バグってたでしょう。
最高の大音響で、壮大にバグってたでしょう。
だから、あそこも。
ほんとは、相当荒れてるはずなんだよね。
「この曲が好きだ。
続けるか、それとも1杯飲むか」
「酒にしよう」
「名前は?」
「捜査官K…」
「それは名前じゃない、製造番号だ」
だけどさ。
あれだけ強いオレンジだったらね…
埃だって、錆だって、よくわかんなくなっちゃうよね。
そういうのを全部、曖昧にするための色なんだ。
そして、オレンジ色は黄昏の色。
デッカードの心象風景でもあるかもね。
…って思ったら、あの色がやたらと優しい色に見えて。
めちゃめちゃ泣けました。うー
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レプリの感情もさ。
前作はもっと、単純だったように思うんだよね。
反乱の原因だってさ。
「もっと、長生きさせろー!うおおおおおー!!!」
って、ほぼそれだったじゃん。
でも寿命がもっと延びて、ネクサスの進化がこれだけ進むと。
感情も、複雑になるんだよね。
お前ら新型は、クソな仕事に満足してる
奇跡を見たことがないからな
差別感情であったり。
帰ってきたか?ブリキの兵隊さん
誰がお前など待つ
孤独感であったり。
自分だと思っていた?
そうなの?そうなのね?
皆、自分だと思いたい
同情であったり。
大義のための死は、何よりも人間らしい
同族意識だったり。
時には誰かを愛するなら
他人でいた方がいい
深い深い愛情だったり。
こんなに複雑な感情が生まれてくるんだったらね。
もう、本物と見分けがつかないじゃない。
それでも、まだ、ね。
彼らはもっと、本物に近づきたいんだって。
もっと近づいて、近づいて。
早く、人間になってしまいたいんだって。
切ない...